2023年12月 6日 (水)

バターのお菓子ですよ    #ブラックサンダー至福のバター #バターどら焼き #かじるバターアイス #ボンブエシレ #バターのスイーツ

Dsc_0295_copy_768x564 バターをフィーチャーしたお菓子が、この秋はスーパーやコンビニの棚によく並んでおりました。梨と栗の間とか、季節商品の穴埋めなんでしょうかね。

 

例えば、ユーラクの『ブラックサンダー PREMIUM 至福のバター』。たかが(失礼)ブラックサンダーなのに、発酵バター使用ですよ。でもそれほど「至福」は感じませんでしたけどね。はっはっは。まあ、ブラックサンダーです。

 

Dsc_0428_copy_768x576 続いて、栄太郎総本舗×三越伊勢丹の『バターどら焼き』。これ、おいしいんですよねー。バターどら焼き発明した人、天才ですねー。

Dsc_0429_copy_768x576_20231206215201 バターのほのかな塩味が、あんこの甘さを引き立てる。良き良き。

 

Dsc_0148_copy_800x509 そしてアイスクリーム系からは、赤城乳業の『かじるバターアイス』。これ、「のん」さんが広告キャラを務めていたやつです。以前にも紹介したことがあったと思いますが、今回のバージョンは当初の製品よりもバターの量を50%もアップさせたんだそうで、その分コクが増しているのでありましょう。まあ、悪くもないですが、めっちゃうまい!とも思いませんでしたねえ。のんには悪いけど、更に改良の余地があるのではないでしょうか。

 

Dsc_0366_copy_800x607てなわけで、最後は高級品を。エシレバターで有名なエシレの『ボンブ・エシレ』。「ボンブとは半球形の型の名称」とか書いてありましたが、bombなんだから爆弾ですよね。「エシレ爆弾」だあ。これ、エシレの店舗の中でも池袋西武店のみで販売しているのだそうです!

一見、シュークリームっぽく見えますが、丸い生地はもっとふわっとやわらかなカステラ生地。ただ、クリームが期待に届かなかったんですよねー。大江戸はもっとバタークリーム的なものを期待していたんですが、どうも違う。で、単独にクリームとしては「ああ、こんな感じね」で驚くほどのことはない。これだったらおいしいカスタードの方がいいやって感じなのです。1つずつ大層な箱入りで結構なお値段の割には、ちょっと残念なお品なのでした。

 

 

 

| | コメント (0)

2023年12月 5日 (火)

なでしこのブラジル2連戦    #サッカー女子日本代表 #なでしこジャパン #日本対ブラジル 

サッカー女子日本代表のブラジル遠征2試合、時差の関係もありTV放映はなかったのですが、JFA(日本サッカー協会)がYouTubeで配信してくれました。で、大江戸は後からそれを見たって寸法です。

初戦はシーソーゲームで後半アディショナルタイム最後のワンプレイでブラジルに決められ、3-4とめちゃくちゃ惜しい敗戦。でも2戦目は2-0と完勝。二試合合計ならば、5-4で日本の勝ちです。どんなもんだい。

以下ランダムに・・・

・実況・解説のないスタジアムの音声だけの映像で見るのが、新鮮な体験でした。特にハーフタイムなんか、スタジアムの空撮をえんえん何分も映していて、なかなかです。

・完全アウェイの中、けっこうブラジル人たちを沈黙させられたのが快感でした。

・まあ、ブラジル女子は男子と違って、それほどスゴイ存在じゃないけど。技術的にも日本の方が上でした。

・ブラジルの10番マルタは凄い人気ですねー。彼女が出て来ると、スタンドのみんなが撮影をはじめるという…。唇の赤さにもびっくり。

・池田太監督はずっとピッチ際で大声で指示を送っていましたが、あんな代表監督って他にいないんじゃないですか? ちょっと興奮して恥ずかしいときもあったし、すべてのプレイに指示を出して従わせるって、ちょっと違うような気が…。まあ、これまできちんと実績を作ってるので、それでいいのかも知れませんが…。

・今夏のワールドカップではトレーニングパートナーとして同行していた古賀(17歳)、谷川(18歳)の2名が初招集。二人とも(まだ足りない部分はいろいろありましたが)2試合とも出場。

・2試合ともアンカー起用の熊谷、良くなかったですねー。失点につながるミス多し。

・2戦目のGK田中桃子はやっぱり能力的に問題ありだと思います。足元のプレイが遅すぎて、相手FWに詰められて危険なシーンが頻出。キックもことごとく味方に収まらない。終盤の拙劣なファンブルも、敵のシュートミスに救われましたがひどかった。

・藤野あおばは1試合目の得点もいいけれど、2試合目の長ーいドリブルキープとかも見事で、完全にエース格。

・宮澤ひなたは2試合目に4分だけの出場で、ケガ(たぶん筋肉系)による交代。心配ですね。

・日本は2試合ともピンク~紫グラデのアウェイユニフォーム。W杯では1試合しか見せられなかったので、披露できてよかったですね。

・田中美南の髪型が、北村菜々美さんのまねっこのように黒まぶしの金髪くしゅくしゅヘアーになってました。

 

 

| | コメント (0)

2023年12月 4日 (月)

「ほかげ」:戦後を描く反戦映画    #ほかげ #塚本晋也 #趣里 #森山未來 #フルメタルジャケット #反戦映画

1_20231204220101 映画『ほかげ』は、塚本晋也の新作。戦後混乱期の闇市界隈が舞台です。本作には俳優・塚本晋也が登場しない代わりに、塚本さんが小型デジカメを持って撮影しているそうです。いかにもツカモト的な、不気味でおどろおどろしい闇を持つ、狂気と暴力を孕んだ絵が撮れています。

前半の趣里パート(室内)と後半の森山未來パート(屋外)できれいに二分しながら、どちらにも同じ男の子(塚尾桜雅)をからめて描きます。戦後の話ですが、そこに浮かび上がってくるのはやはり戦争の悲惨さと狂気。この前半と後半を別の話でつなげてる形式が何かに似てると思ったら、『フルメタル・ジャケット』ですよね。前半の訓練所パートと後半の戦場パート。塚本も反戦トラウマ映画として意識していたのではないでしょうか。

森山未來は最近こういう役ばかりですねえ。『山女』の彼とも一脈通じる所がありますし。 そして趣里。朝ドラ『ブギウギ』のヒロインが決まったのは、本作の撮影が終わってからだそうですが、まあこっちの方がメンヘラ系女優の本来の姿ですよね。髪型のせいもあって、妙に岸井ゆきのに似ていました。

で、本作の美点は説明し過ぎないこと。最低限の台詞や描写で、観客に想像させてわからせる、そのギリギリのラインで成功しています。例えば、趣里がどうして急に子供を追い出してしまったのか、そこらへんも後半の「病気」という言葉や利重剛のリアクションで、ああそういうことかと観客にわからせるのです。手腕として上等です。あのツカモトも、還暦を過ぎて上等になったのですねえ。その後の闇市での子供の件りなんて、見事に正統派の「映画」になっていたではないですか!

 

 

| | コメント (0)

2023年12月 3日 (日)

ベルマーレ、残念な今期最終戦    #湘南ベルマーレ #ベルマーレ #湘南FC東京 #秋春シーズン制反対 #WEリーグ

Dsc_0442_copy_1024x748_20231203224701 前節のアウェイ横浜FC戦でJ1残留を決めた湘南ベルマーレ。今日はFC東京を相手にシーズン最終戦@レモンガススタジアム。

Dsc_0444_copy_1024x768 快晴で思ったよりは暖かかったのですが、やはり日陰の座席に座っているとかなり寒かったです。ヒートテック、ダウン、カイロ、ニット帽、マフラー、手袋、ひざ掛け、クッションなど防寒用品総動員でしたが、それでも寒い。これだから大江戸は「秋−春シーズン制」に反対なのです(実質的には「夏−夏シーズン制」ですが)。東京、神奈川だって12−2月の観戦はメッチャ寒いのです(ひと月のウィンターブレイク程度では足りません)。いわんやもっと寒い地方のチームの試合をや。

Dsc01182 さて試合の方は、ホーム最終戦を勝利で飾れずに0-1敗戦。終盤の好調のまま最後までとはなりませんでした。残留が決まって、ちょっと安心しちゃったんですかね?前節のような必死のプレイが足りなかった気がします。あと一歩、あと30㎝のがむしゃらさが足りない感じ。あとは(累積警告による出場停止で)田中聡がいなかったのが大きかったなあ。

Dsc01188 でも阿部ちゃんは懸命に走り回っていて、素晴らしかったです。昨年も今年の序盤も、こんなに走る選手じゃなかったのに、すっかり変わりました終盤の好成績は阿部ちゃんのおかげでもあります(もちろん、田中聡やキム・ミンテや冨井、ソン・ボムグンのおかげでもあります)。

Dsc_0445_copy_1024x562 大橋はシーズン13点止まり。でもようやく覚醒してくれました。シーズン途中での町野欧州移籍の穴をしっかり埋めてくれました。1990年代のJ1加入初期にしか頼りになる点取り屋がいなかったベルマーレに、二桁ゴールを挙げるストライカーが2年連続で出るなんて! 大橋祐紀、ソン・ボムグン、キム・ミンテ、田中聡、阿部浩之だけは来シーズンも残ってくれ!あとは贅沢言わないからと言いたい大江戸です。

Dsc01196 試合終了後にはシーズン最終戦セレモニーが。どうも負けてからのセレモニーだと、もやっとしますね。大岩一貴キャプテン、山口智監督、坂本紘司社長が挨拶。言っちゃあ悪いけど、社長の話し方じゃなかったなあ、坂本さん。この人が社長で大丈夫なのかと思わせるスピーチでした。

Dsc_0451_copy_1024x642_20231203231301 アンダーカテゴリーの選手たち、アカデミーの選手たち、ガールズの選手たちも勢揃いしてのこの光景は前にも見たことがありますね。湘南名物です。

Dsc01222 その後、すべてのカテゴリーの選手たちが場内を一周。客席からは拍手が送られました。

ゴール裏にはサポーターによる横断幕が掲示され、最初は厳し目に「2年連続目標とかけ離れた順位、エンブレム問題や国立開催までのプロセス、繰り返されるミスや失態。組織の体制、クラブの在り方を見つめ直す時。強く大きい湘南ベルマーレを共に築くために。」という文。いつの間にか途中でかけ替えられて、「時にぶつかり、仲間のために走り切る。闘う責任と覚悟を持ち、2024年過去最強の湘南ベルマーレを共に築こう。」となっていました。

Dsc01230 ガールズの選手たち。いつの日か、ベルマーレの女子チームがWEリーグに参戦することを、大江戸は祈っております。

 

Dsc_0453_copy_1024x622 伊勢原駅に向かう帰りのバスからは、夕陽の富士山が見えました。しばらくはJリーグもお休み。でも小生はWEリーグに行きます(寒いけどね)。皆さんも、せめてJリーグのない期間は、WEリーグのスタジアムに足を運びましょうよ!

 

 

 

 

| | コメント (0)

2023年12月 2日 (土)

「朝がくるとむなしくなる」と舞台挨拶とサイン会    #朝がくるとむなしくなる #朝むな #唐田えりか #芋生悠 #石橋夕帆 #シネクイント

1_20231202232001 映画『朝がくるとむなしくなる』公開記念舞台挨拶とサイン会付の上映@渋谷シネクイントに行ってきました。はい、唐田えりかさん目当てです。

まずは映画。唐田さんはここ1年程の間に、小規模公開の映画4本(『の方へ、流れる』、『死体の人』、オムニバス『無情の世界』の中の『真夜中のキッス』と本作)で主役級を演じているのですから、大したものです。当然、全部劇場で観ております。この映画での彼女は、とてもナチュラルな「普通の人」。今の時代の漠然とした息苦しさと生きづらさを体現しています。いやー、いいですよ。

脚本・監督の石橋夕帆が唐田さんにあて書きしたということで、いかにも地に近そうな感じの役柄。台詞は、彼女の置かれた状況を反映するような、どうしても彼女自身を連想してしまうようなものがいくつもありました。そして、それらが優しく人を励ますようなものであることが嬉しいですね。難しい時代の中で、一人一人を「大丈夫だよ」と励まし、力を与えるような、やわらかいポジティブさにあふれた作品でした。むなしくならない映画です。

実際に唐田えりかと大の親友であるという芋生悠が、これまたナチュラルな好演。この二人を使って、日本映画史に残る「シスターフッドもの」を作った石橋夕帆監督のやさしく温かい視点が、とてもいいのです。76分というコンパクトさと、描写のあっさりかげんも、この作品の魅力です。そして最大の魅力は、お酒を飲んでぐだぐだ話してる時の面白さ。あのナチュラルさは、ほんとに飲みの席に居合わせて、いいものを観せてもらっている気分になります。なんならホン・サンスの映画みたいに、全編の半分ぐらいを酒飲みぐだぐだ描写で埋め尽くしちゃえばいいのに。

 

Dsc_04332_copy_1265x929 終映後の舞台挨拶は唐田さん、芋生さん、石橋監督。約20分ほど、楽しいお話を伺えました。唐田さんは長い髪を切って、新しいヘアスタイルになっておりました。この作品、2年ほど前に撮影して、ようやく公開になったんですってねー。唐田さん、芋生さんの仲良し感もしっかり伝わって来ましたし、石橋監督の持つ現代のバッシング社会への問題意識も大いに同意したいものでした。お話の後にはメディアのフォトセッションと観客サービスの約10秒。事前情報では写真不可だったので、デジカメ持って行かなかったんですよねー。10mぐらい離れていて、照明も暗かったので、ケータイカメラでは限度があります。残念。

Dsc_04362_copy_768x558

 

で、その後にサイン会。この回の観客で、パンフレット(と言っても、A3の紙を4つ折りにしたものですが)を買った人は、そのパンフにサインしてもらえるというもの。これがもう、ほとんどすべての観客が参加したんじゃないでしょうか? 列が通路から劇場内を通って、ロビーに出て、そこから階段を下りて1フロア下の回の通路まで続いておりました。そんなわけでサインをもらうまでに30分近くかかりましたが、でもオッケー! お三方が横並びでしたが、真ん中の唐田さん、いやー、かわいいのなんの。顔が小さく、瞳キラキラでした。

Dsc_0437_copy_1280x929 サインはこんな感じ。芋生さん、サインがお顔になってます。唐田さんは読みやすいきれいな字のサインですねー。家宝にしたいと思います。

| | コメント (0)

2023年12月 1日 (金)

「This is 江口寿史!!」(とんぼの本)    #江口寿史 #ジスイズ江口寿史 #とんぼの本江口寿史 #パパリンコ物語 #マカロニほうれん荘

Dsc_0430_copy_600x751 この夏に発行された「とんぼの本」シリーズの『This is 江口寿史!!』、だいぶ前に読んだのですが、ようやく今年中にご紹介。

この本、もとは2016年の『芸術新潮』江口寿史特集がベースになっていて、そこにそれ以降の『芸術新潮』や他の記事をプラスして、さらに“目玉”を加えたもの。目玉というのは、あの幻の中断名作『パパリンコ物語』の第1話~3話を完全掲載していること! いやー、実は『パパリンコ物語』読んだの初めてです。ミスタードーナツのノベルティでパパリンコのグラスとかは持ってるのですが、長年単行本未収録でしたからね。いいですね。面白い。こうなると、残りの4~10話を読みたくなるのが人情ってもんでございます。江口さん、なんとかしてください!Dsc_0431_copy_462x751

その他に、江口さんと大友克洋の対談があったり、展覧会でのライブドローイングの密着取材があったり、江口インタビューで『マカロニほうれん荘』への愛憎を語っていたりと、読み応え十分。ちなみに大江戸がこの世で一番好きなマンガは『マカロニほうれん荘』です。たぶん。なので、作者である鴨川つばめ氏の裏話なども知ることができて、興味深かったです(そうかあ。あの手抜きの絵は「終わらせるため」だったのかあ。悲しいなあ)。

全体的には「江口山脈」のごく一部を解説したり語らせたりしている内容ですが、ファンのはしくれとして楽しめたし、ためになりました。この秋に世田谷文学館の江口展( ↓ )を観たときの副読本にもなったのですよ。

「江口寿史展 ノット・コンプリーテッド」@世田谷文学館    #江口寿史展 #ノットコンプリーテッド #江口寿史 #世田谷文学館: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

| | コメント (0)

2023年11月30日 (木)

ローリング・ストーンズ「ハックニー・ダイアモンズ」    #ローリングストーンズ #ハックニーダイアモンズ #アングリー

Dsc_0167_copy_800x6003 この10月にリリースされたザ・ローリング・ストーンズのニュー・アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』。予約して発売日には手に入れていたのですが、例によって聴きこんでからのご報告です。

2005年の『ア・ビガー・バン』以来18年ぶりのオリジナル・アルバムですが、そしてチャーリー・ワッツが亡くなって(いよいよミック・キース・ロニーだけになって)初めてのアルバムですが、チャーリーがドラムを叩いてる曲も2曲(+日本版ボーナストラックも)入ってます。ついでながら、レディー・ガガをフィーチャーした曲もあります。

うーん、とにかくスゴイです! だって、80歳前後の人たちがやってる音楽とは思えませんよ(ミック=80、キースもまもなく80、ロニー=76)。『ア・ビガー・バン』よりも絶対充実してますよ。バリバリのロックンロールですよ。イキがいいんですよ。どの曲もまるごとストーンズです。年齢を感じさせないどころか、「全盛期」を感じさせさえするのです。恐るべし。

リード曲の『アングリー』は、ストーンズの名曲の一つに数えられそうなキャッチ―なナンバー。ジャケットにステッカーが貼ってあるように、フジテレビ『うちの弁護士は手がかかる』のテーマ曲なんですよねー。よくそんなことができたな?とびっくり仰天であります。ドラマも1回だけ斜め見しましたが、曲の流れるタイトル場面にMVと連動したストーンズのビジュアルを使ったりしておりました。

日本版ボーナストラックは、(大江戸の趣味としては)まあなくても支障がないような曲でした(笑)。 さて、次のオリジナルアルバムが作られることはあるのでしょうか? それともこれが最後なんでしょうかねえ?

 

 

 

| | コメント (0)

2023年11月29日 (水)

「花腐し」:おじさんのノスタルジー&ファンタジー    #花腐し #荒井晴彦 #さとうほなみ #さよならの向う側

1_20231129220001

映画『花腐し』(はなくたし)は、前作『火口のふたり』(2019年)が同年のキネマ旬報ベストワンに輝いた荒井晴彦監督(脚本は中野太と共同)の新作。前作同様、ヌーディティーも性描写もがっつりある往年のロマンポルノのような作品です。

まったくもってオールドファッションドな男たち(と女ひとり)の映画です。綾野剛と柄本佑の二人の昭和な無頼ぶりが、実に「おじさんのノスタルジーとファンタジー」になっています。いや、76歳の荒井晴彦がそう書いて、そう演出してるので、むしろ「おじいさんのノスタルジーとファンタジー」なのかも知れません。ノスタル爺、ファンタ爺…。なにしろ常に酒飲んでるし、タバコ喫ってるし、やたらとセックスしてるし、下駄履いてるし、ぼろアパートだし、ゴールデン街だし…。

そういったあれこれがカラーとモノクロの映像を行きつ戻りつしつつ描かれます。このモノクロ映像が、いい諧調なんですよねー(カラーもいいけど)。幽玄で。撮影は、川上晧市と新家子美穂。

そして、昨年の『愛なのに』でも良かった「さとうほなみ」が、本作ではさらに忘れがたい印象を残します。決して「うまい」芝居ではないけれど、それ以上に何ともリアルな存在感と肉体の力で、観る者の情感を震わせます。

(以降少々ネタバレあり) ラストの『さよならの向う側』(山口百恵のラストシングル)がまたほとんど反則。あのデュエットに漂う退廃と喪失感とやるせなさ。それでも人生は続く。子供にはわからない、大人のための日本映画ってこういうものです。 ついでながら、荒井さんが自らの脚本作『Wの悲劇』で書いた有名なフレーズ「顔ぶたないで。私、女優なんだから。」が文字で出てきて、おお!と思いました。『キネ旬』を読んだら、荒井晴彦の脚本家デビュー作『新宿乱れ街 いくまで待って』(1977年)でも使われていたんだそうですけどね。

 

| | コメント (0)

2023年11月28日 (火)

展覧会「活字の種を作った人々」@本と活字館<後編>    #活字の種を作った人々 #本と活字館 #市谷の杜 #活版印刷 #大日本印刷 #DNP #秀英体 

昨日の<前編> ↓  に続いて、「市谷の杜 本と活字館」の見学および展覧会『活字の種を作った人々』、後編です。

展覧会「活字の種を作った人々」@本と活字館<前編>    #活字の種を作った人々 #本と活字館 #市谷の杜 #活版印刷 #大日本印刷 #DNP #秀英体 : 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

 

Dsc_0392_copy_768x548 活字に驚嘆しながら、その先に歩を進めると、これまたレトロな印刷機が! このスペースを使って今も毎日、活字を拾って版を組み、印刷しているのだそうです。びっくりです。

Dsc_0403_copy_768x554 その先には、製本を解説するコーナー。糸でかがって製本する機械もあって、時間があればもっとじっくり観たかったところです。

Dsc_0393_copy_768x942 後ろ髪をひかれながら2階へ。階段を上って正面に見えるのが展覧会場です。『活字の種を作った人々』。ここまでの見学で、だいたいどういう内容なのかは推測できるようになっております。

Dsc_0396_copy_768x1024 渋いというか地味というか、実にオトナな内容です。でも大江戸もオトナなんで、こういうの面白いですねえ。「秀」とか「朝」とか、柱に入った大きな文字が効いてます。

Dsc_0394_copy_768x825 活字見本帳を置く位置に「トンボ」がつけてあるあたり、洒落てます。会場デザインの小ワザですね。

Dsc_0397_copy_768x560 朝日新聞や毎日新聞のオリジナル字体の活字や、昔の紙面も。新聞社や出版社がそれぞれに自社のオリジナル活字を使い、それらの種字を彫る職人さんを抱えていたそうです。すごい話ですね。

Dsc_0400_copy_768x784

そうして出来上がった活字を組むとこうなるわけです。それはそうと、職人さんって反転した「鏡文字」で彫っていくわけです。完成形を反対からイメージできないとダメなんです。やっぱりすごいなあ。おそるべし職人技!

Dsc_0401_copy_689x1024 印刷用の版。本当に昔の印刷は、鉛の重さとの戦いだったのでしょうね。

Dsc_0399_copy_768x610

活字職人さんの作業風景動画も流れていました。そんな人たちが使うプロの道具もまた、この精緻な美しさ。まるで手術道具みたいですね。デイヴィッド・クローネンバーグ好みの世界であります。

 

Dsc_0398_copy_768x552

いやー、活字と印刷の世界、面白かったです。時間制限がなかれば、もっとずっと観ていられたことでしょう。グーテンベルクの活版印刷機の発明は、火薬、羅針盤とともに「世界三大発明」だと昔習ったんだか雑学で覚えたんだか、いずれにしても今日の見学で納得しました。これによって、書物が多く広まるようになったわけですから、まさしく人類の文化を大きく前進させることに貢献したわけです。すごいぞ、活版印刷! 時代の流れの中で=印刷技術の進歩によって、今の需要はほとんどなくなっているわけですが、すべての「基本」として受け継がれるべきものだと深く認識しました。

Dsc_0376_copy_768x576 そして、それをこのようなミュージアムとして保存、公開している(しかも実際に使用しながら)大日本印刷さん、さすがです。エライ!

Dsc_0402_copy_768x568 そういえば、2階は展覧会スペース以外にも、制作室(イベントやってました)とかグッズショップとかがありました。その脇のスペースにあった長椅子はご覧の通り、巨大な活字を模したものなのでしたー。洒落っ気たっぷりですう。

 

 

| | コメント (0)

2023年11月27日 (月)

展覧会「活字の種を作った人々」@本と活字館<前編>    #活字の種を作った人々 #本と活字館 #市谷の杜 #活版印刷 #大日本印刷 #DNP #秀英体 

Dsc_0404_copy_768x574 昨日、市ヶ谷駅から徒歩10分ぐらいの「市谷の杜 本と活字館」に初めて行きました。いやー、いろいろと発見があって、地味に興奮しました。

Dsc_0378_copy_768x1024

市ヶ谷の北側に坂を登って行き、防衛庁の先に位置する一帯は静かで広々としたエリア。日曜なんで、ほぼゴーストタウンでしたし。いやー、新宿区にこんな所があったんですね。ノーマークでした。そしてこのレトロで美しい建物は、1926年に建てられたそうです。当時は大日本印刷の前身である秀英舎の印刷工場だったそうですよ。この周辺、かなり広い土地の中に大日本印刷=DNPの大きなビルやいくつかの関連施設が建ってたりして、すっごいスケール。いやー、恥ずかしながらDNPがここまで超・大企業だとは知りませんでした。

Dsc_0377_copy_768x1014

ここには『活字の種を作った人々』という小規模の展覧会(~2024年6月2日/入場無料)を観に来たのですが、その会場(2階)に着く前に、外観と1階でコーフンしてしまいました。あ、ちなみにここは土日祝は予約なしでも入れるのですが、平日は要予約のようです(月・火は休館)。調べてから行ってくださいね。

Dsc_0379_copy_768x544 受付の方に「こんにちは」して1階フロアを見渡すと、むむむ、カフェもあるけど、活字や活版印刷のあれこれが展示してありますね。そしてパネルを見ると、おお、往年のこの建物の写真! 今と(たぶん)変わらぬ外観です。

Dsc_0380_copy_768x738

どうやらこのあたりは印刷・活字関係の常設展示なのでしょうね。展示してあるものはいかにも古いのですが、その見せ方(サインとかキャプションとか映像とかデジタルとアナログを融合させた説明機械?とか…)は現代的で、もろもろのデザインも洗練されています。

Dsc_0383_copy_635x1024 そうかー、明朝体とかのフォントに「秀英体」ってのがあることは知っていたのですが、ここがもともと秀英舎だったからなんですね。知らないことがいろいろわかって、目からウロコが落ちていきます。

Dsc_0384_copy_768x1024 活字のもとを彫る機械とか、鉛を溶かして活字を造る機械とか、いろんなものがあるわけです。大江戸は確か30歳前後で気づいたのですが(遅い?)、印刷物の文字、活字って、もともとそこに存在するものじゃなくて、誰かが大元の文字を手で書いて(描いて)創り出したものなんですよね。考えてみればあたりまえなんですけど。それはコンピューターのフォントであっても同じことです。

Dsc_0386_copy_768x1024鎮座している機械は、いかにも年季を感じさせるものです。重くて頑丈そうです。

Dsc_0385_copy_768x576

一方で、木製のデスクみたいなのに、指定の位置にアクリルキューブを置くと、説明映像や動画が見られるというデジアナ・ハイブリッド解説マシーンもあったりします。そして学芸員なんでしょうか普及担当員なんでしょうか?親切な説明をしてくれる女性もいらっしゃいました。大江戸は時間の関係でパスしましたが、活版でしおりを作れる実演コーナーなんかもありましたよ。

 

Dsc_0387_copy_768x708

ああ、鉛の活字がずらりと並んでいて、壮観です。

Dsc_0389_copy_768x890

頻繁に使う語句は、2文字、3文字と合わせたものを用意してあったりもするのです。よく使う字はたくさんあるんですね、なるほど。1ページに何回も出てくるんだから、そうでなきゃ足りなくなっちゃいますもんね。

Dsc_0390_copy_768x576 ルビ用の活字なんていう超絶小さいものもありました。びっくりしたな、もう。さすがに初めて目にしましたよ。驚異!

係の方の説明を聞くと、いろいろ驚くことだらけ。いやー、印刷の歴史の中で数多くの知恵と技術が生み出され使われ続けてきたのですねえ。人類の育んだ偉大なる文化です。もっとじっくりと見聞きしたい感じでした(当日の小生は時間制限があったのです)。

Dsc_0391_copy_768x531

大日本印刷が作った本や雑誌も展示されていて、『キング』『平凡パンチ』などもありましたが、かの『ホトトギス』も展示されていて、漱石の『吾輩は猫である』のページが開かれておりました。なんか、歴史と伝統が凄すぎますわ、ここ。

思いのほかの面白さと充実ぶりにかなりアガりながら、後編へと続く・・・↓

展覧会「活字の種を作った人々」@本と活字館<後編>    #活字の種を作った人々 #本と活字館 #市谷の杜 #活版印刷 #大日本印刷 #DNP #秀英体 : 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

 

 

 

 

| | コメント (0)

«「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」:くだらないけど笑えます    #翔んで埼玉 #翔んで埼玉琵琶湖より愛をこめて #GACKT #ウンパルンパ #近江兄弟社