2022年1月17日 (月)

「ハウス・オブ・グッチ」:重厚で濃密なドラマ    #ハウスオブグッチ #リドリースコット #レディーガガ #アルパチーノ

1_20220117222301 映画『ハウス・オブ・グッチ』は、2時間39分の濃密なドラマ。昨今あまり見られなくなった重厚で上質なドラマです。監督は、前作『最後の決闘裁判』も重厚な長尺ドラマだったリドリー・スコット。84歳だってのに、どうなっちゃってるんでしょうか、この人。映画が骨太でエネルギッシュで、ちっとも枯れません。

まあ、とにかく俳優陣の芝居合戦を堪能する映画。レディー・ガガの厚かましく嫌悪感を抱かせるヴィランぶり! アダム・ドライバーの無能なボンボンっぽさ。 久々に見たジェレミー・アイアンズの老年ならではのカッコ良さ。 ジャレッド・レトのあっと驚くハゲヅラ役作り。そしてアル・パチーノのイタリアンなアクの強さ。パチーノ、久々にこってりした芝居をたっぷり演じられて、嬉しそうでした。 メインキャストの誰もがオスカー級と言っていいでしょう。

物語の展開も早く、まったく飽きさせません。リドリー・スコットの剛腕がぐいぐいと引っ張ってくれます。衣装も、時代再現も、音楽の使い方も、映像も、すべてにわたって上質です。脚本も実話に基づくグッチ一族の栄枯を、下世話な一方で古典悲劇のような格調すら与えながら描いています(夫婦の愛憎、親子の愛憎、愛されない息子のコンプレックスなどなど)。リドリー亡き後には、誰がこういう重厚なエンタテインメント路線を引き継いでいけるのだろうかと、ハリウッドの行く末がちょっと心配になって来たりもしちゃいます。

それにしても、こんな映画観たら、グッチの商品を買う気が失せてしまわないものなのでしょうか? 観た人の心に、負のイメージがべったり張り付いてしまうと思うのですが…。まあ、どのみちグッチなど買えない大江戸が心配することもないのですけどね。

 

 

 

 

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2022年1月16日 (日)

「明け方の若者たち」:胸キュンの恋愛モデルケース映画    #明け方の若者たち #恋愛映画 #松本花奈 #黒島結菜 #北村匠海 #井上祐貴

1_20220116221401 映画『明け方の若者たち』は、もしかしたら『花束みたいな恋をした』が大ヒットしたから、その路線を狙え!ってことでGOが出た企画なのでしょうか? 何しろ明大前の居酒屋での飲み会からスタートすることからして、『花束』を意識してるって気がしてしまいます。明大前は甲州街道の歩道橋なども出て来ますし、下北沢や高円寺もロケ地になっております。

それにしても、タイトルの「若者」って…。かなりハズイと思うんですけど。

でも映画は気に入りました。恋愛の甘酸っぱさとほろ苦さを観る者に味わせてくれるってところも、まさに『花束』なんですけど、いやー、「こういうのあるよね」とか「こういう空気って懐かしい」などと思って、キュンキュン来ました。23歳の現役慶大生である松本花奈監督、結構やるじゃないですか。恋の始まりから終わりまでを描き、良い出来です。作品に仕掛けられたトリックも、成功していますし。

『花束』の時にも感じたのですが、恋愛をしなくなったり恋愛に臆病になっている昨今の若い人たちへのマニュアル的モデルケースの提示としても、意義深いと思うのです。こういう映画を観て、恋をする気になったり一歩踏み出してくれる人が増えるといいなと思います。

でも、恋愛パートに較べて、お仕事パートがちょっとありきたり。いかにも「甘っちょろい」考え方のヤツらばかりですし、それが年月とともに牙を抜かれていくような話ですし…。だからどうなの?って感じで面白くないのが残念です。(以降ネタバレあり)だから黒島が退場してからの終盤がグダグダになって、映画としてうまくまとめられなかった印象なのです。

とにかく黒島結奈がステキです。小柄な少女的かわいらしさに加えて、今回は別の表情もプラスして成長しました。 (以降ネタバレあり)ベッドシーンで彼女の横顔を延々と撮った松本監督も良かったし、黒島さんもそれに応えた演技を見せてくれました。ただ、二人ともバスローブ着たままってどうなのよ??というツッコミ所でもありました。 北村匠海が風俗嬢に「自分は二番手でも良かった…」と泣いて語る場面は、昔なら女性の台詞。時代性の象徴だなあと感心しておりました。 あと、北村匠海の同僚役=井上祐貴は、かなり良いですね。これから伸びる役者だと思います。

※この作品、昨年の12月31日公開なのです(なんでそうしたんだろう?)。なので、『キネ旬』などのテンでは2022年の対象になるのですが、大江戸時夫のトップテンはしっかり暦年でやってますんで、昨日発表した「2021年の日本映画トップテン」の<その他の記憶すべき作品>に加えさせていただきます。あしからず。

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2022年1月15日 (土)

2021邦画トップテン    #2021年日本映画ベストテン #2021年邦画ベストテン #シンエヴァンゲリオン #偶然と想像 #庵野秀明 #濱口竜介

昨日の外国映画篇に続いて、大江戸時夫の日本映画2021年トップテンです。(  )内は監督名。

1.シン・エヴァンゲリオン劇場版 (※総監督:庵野秀明)  2.偶然と想像 (濱口竜介)  3.あのこは貴族(岨手由貴子)  4.子供はわかってあげない(沖田修一)  5.街の上で (今泉力哉)  6.龍とそばかすの姫 (細田守)  7.Arc アーク(石川慶)  8.茜色に焼かれる(石井裕也)  9.花束みたいな恋をした(土井裕泰)  10.椿の庭(上田義彦)  次点.哀愁しんでれら(渡部亮平)

<ドキュメンタリー特別賞>  水俣曼荼羅    過去はいつも新しく、未来は常に懐かしい 写真家 森山大道    ONE FOUR KENGO  THE MOVIE ~憲剛とフロンターレ 偶然を必然に変えた、18年の物語~  

<その他の記憶すべき作品>  すばらしき世界  砕け散るところを見せてあげる  BLUE ブルー  空白  まともじゃないのは君も一緒  ドライブ・マイ・カー  由宇子の天秤  14歳の栞  るろうに剣心 最終章 The Beginning  うみべの女の子  孤狼の血 LEVEL2  明け方の若者たち

<ドイヒー賞>  大綱引の恋  女たち  私はいったい、何と闘っているのか      

監督賞:庵野秀明(※総監督だけど/シン・エヴァンゲリオン劇場版)   脚本賞:濱口竜介(偶然と想像)   撮影賞:芦澤明子(子供はわかってあげない)、ピエトル・ニエミイスキ(Arc アーク)   主演女優賞:上白石萌歌(子供はわかってあげない)  主演男優賞:役所広司(すばらしき世界)   助演女優賞:片山友希(茜色に焼かれる)、奈緒(君は永遠にそいつらより若い)  助演男優賞:鈴木亮平(孤狼の血 LEVEL2)   ビューティー賞:北川景子(キネマの神様)   グレイス賞:富司純子(椿の庭)    新人賞:中井友望(かそけきサンカヨウ)

コロナ2年目にも関わらず、秀作の多さ(しかも上半期公開作の充実)に驚きました。普通の年なら必ずテンに入るであろう『哀愁しんでれら』『すばらしき世界』『砕け散るところを見せてあげる』『BLUE ブルー』『空白』あたりがはみ出してしまいました。また、ドキュメンタリーの秀作3本は(例外的に)別枠にすることで、できるだけ多くの作品を讃えてあげることにしました。

1位は洋画と同じくアニメーションになりました。『エヴァンゲリオン』はとてつもなく巨きな作品の中で、個人的な「心の奥」を描くという挑戦に成功し、しかもラストの希望とすがすがしさ!

2位『偶然と想像』の脚本と演出には舌を巻きました。天才の仕事です。濱口竜介作品なら『ドライブ・マイ・カー』も悪くはないんですけど、断然こっちの方が上ですね。 4位の『子供はわかってあげない』は、ダイアローグも役者も撮影、特に移動の長回しも凄くって、嬉しい驚きと感動がありました。同作の上白石萌歌は内面からの輝きが圧倒的で、奇跡の主演作となりました。

凶暴な鈴木亮平は、映画史に残る狂犬的悪役! 北川景子は、映画黄金期の大女優らしい完璧な「美人」っぷり! 富司純子の凛とした気品と所作の美しさと着物の着こなし! 『かそけきサンカヨウ』は、主演の志田紗良よりも友人役の中井友望がナチュラルで味わいがあって良かったのです。

世界的に注目される濱口竜介以外にも有望な新人監督がどんどん出て来てます。日本映画の明日は明るい!

 

外国映画篇はこちら ↓

2021洋画トップテン    #2021年外国映画ベストテン #2021年洋画ベストテン #ラーヤと龍の王国 #春江水暖: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

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2022年1月14日 (金)

2021洋画トップテン    #2021年外国映画ベストテン #2021年洋画ベストテン #ラーヤと龍の王国 #春江水暖

お待たせしました! 大江戸時夫の2021年映画ベストテン。今年は外国映画篇から。(  )内は監督名です。

1.ラーヤと龍の王国(ドン・ホール、カルロス・ロペス・エストラーダ)  2.春江水暖(グー・シャオガン)  3.ボストン市庁舎(フレデリック・ワイズマン)  4.アメリカン・ユートピア(スパイク・リー)  5.ウェンディ&ルーシー(ケリー・ライカート)  6.Swallow スワロウ(カーロ・ミラベラ=デイヴィス)  7.ONODA 一万夜を越えて(アルチュール・アラリ)  8.MINAMATA -ミナマター(アンドリュー・レヴィタス)  9.パワー・オブ・ザ・ドッグ(ジェーン・カンピオン)  10.クルエラ(クレイグ・ギレスピー)  次点.すべてが変わった日(トーマス・ベズーチャ)  

<その他の記憶すべき作品>  17歳の瞳に映る世界  イン・ザ・ハイツ  Run ラン  プロミシング・ヤング・ウーマン  モーリタニアン 黒塗りの記録  ビバリウム  ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男  藁にもすがる獣たち  ブックセラーズ  ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結  ブラック・ウィドウ  ラストナイト・イン・ソーホー  リスペクト  逃げた女

監督賞:グー・シャオガン(春江水暖)   脚本賞:クイ・グエン、アデル・リム(ラーヤと龍の王国)   撮影賞:ユー・ニンフイ、ドン・シュー(春江水暖)、ケイトリン・アリスメンディ(Swallow スワロウ)   主演女優賞:ミシェル・ウィリアムズ(ウェンディ&ルーシー)   主演男優賞:ベネディクト・カンバーバッチ(パワー・オブ・ザ・ドッグ)   助演女優賞:レスリー・マンヴィル(すべてが変わった日)   助演男優賞:マーク・マロン(スターダスト)   新人賞:ペム・ザム(ブータン 山の教室)

優秀中篇賞:アミューズメント・パーク(ジョージ・A・ロメロ)

ドイヒー賞:プリズナーズ・オブ・ゴーストランド(園子温)

 

コロナ禍下でハリウッド・メジャー作品の製作・公開が限定されている反動で、小規模公開の作品に優秀作が数多くありました。トップテンの中でなじみの監督名というと、ワイズマン、スパイク・リー、カンピオンだけ。あとは初めて意識したお名前ばかりでした。コロナは、世代交代も推し進めたってことなんでしょうか? 

1位と10位がディズニーのアニメーションと実写作品。しかも2作とも、大手シネコンにかからず小規模公開されただけ(+配信)の作品です。外国映画でアニメを1位にしたのは、大江戸史上初めてだと思います。『ラーヤと龍の王国』は、ディズニー・アニメの最高傑作でしょう。映像のクォリティも、タイムリーなメッセージ性も素晴らしい!

2位『春江水暖』は、相米慎二を彷彿とさせる移動長回しが圧倒的。家族のドラマも良い「だし」が出ていて、驚愕のデビュー作です。 助演女優賞のレスリー・マンヴィルは、とにかくコワイ!まさにビッグ・バッド・ママでした。 助演男優賞のマーク・マロンは、酸いも甘いも嚙み分けた哀愁がお見事でした。 そして新人賞のペム・ザムちゃんは、『ミツバチのささやき』のアナ・トレントと並ぶ映画史上最高のかわいさ! 「中篇賞」は1時間未満(53分)だったので。

ネットフリックスなどの配信系の諸作品も、すべて映画館で鑑賞しました。あたりまえのことです。

 

日本映画篇はこちら ↓

2021邦画トップテン    #2021年日本映画ベストテン #2021年邦画ベストテン #シンエヴァンゲリオン #偶然と想像 #庵野秀明 #濱口竜介: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

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2022年1月13日 (木)

「サマー・オブ・ソウル (あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」:裏ウッドストック    #サマーオブソウル #裏ウッドストック #ブラックウッドストック

1_20220113230801 映画『サマー・オブ・ソウル (あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』は、1969年夏の「裏ウッドストック」とも呼べるハーレムでの音楽フェスティバルの記録映画。ほぼ半世紀の間地下室に眠っていたフィルムを発見、編集して世に出した作品です。

2-3日前のネットニュースで、この作品がニューヨークタイムズの2021年映画ベストテンの第1位というのを知って、「だったら、これを観ずに大江戸の2021年テンも選ぶわけにはいかないでしょ」ってわけで、上映館を調べました。そしたら今は全国で2館しか上映しておらず、うち1館である下高井戸シネマに行って観て来たってわけでさあ。

確かに今日的視点からも興味深く、意義のある作品だと思います。でも、フェスティバルの記録映画としてはどうしても『ウッドストック』と比較してしまい、そうすると映像の質にしてもキャメラポジションにしても編集にしても物足りないのです。特に編集においては、『ウッドストック』はマーティン・スコセッシが編集者の一人ですからねえ。

画角が限られていて、言うほど多くの観客がいるように見えません。そんなに広い場所に見えないし。まあ、6月~8月に6回開かれたライブの合計で「30万人が参加」ってことなのでしょうね。それなら1日あたり5万人。1日の間に観客の出入りが結構あったのでしょうから、延べ人数としてそれぐらいになるのでありましょう。 防犯面とかいろいろ事情があるのでしょうが、ウッドストックと違って夜は一切やっていないあたりも、何となく物足りないところです。

でも豪華な出演者たちと有名な曲の数々で、十分に楽しめます。歌い手と結びつかなくても、曲は知ってる!ってケースもいくつかありましたし。スライ&ザ・ファミリー・ストーンは、この後にウッドストックにも出てるんですよね。で、ウッドストックのステージの方が(映画で観る限り)素晴らしいのです、これが(こっちも悪くないんですが)。

半世紀後だから、当時の出演者や観客や関係者がまだ存命中で、そういう人たちの証言が多く含まれているのが本作の価値でありますね。

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2022年1月12日 (水)

今日のいたずら17    #今日のいたずら #アイロン台でオバQ #オバケのQ太郎

Dsc_0009_copy_600x899 (えかき歌)

アイロン台がー ありましたー

 

Dsc_0010_copy_504x899 あーっというまに オバQよ

 

(※オバQ=藤子・F・不二雄原作のマンガ『オバケのQ太郎』の主人公)

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2022年1月11日 (火)

「悪なき殺人:偶然に頼り過ぎでは?    #悪なき殺人 #ミステリー映画 

1_20220111221001 映画『悪なき殺人』は、ルックや雰囲気的にはフランス版『ファーゴ』といった趣きですが、観てみるとだいぶ違いますね。ユーモアがほとんどないし、いろいろツッコミたい所も多い作品です。

5人の登場人物それぞれの側から事件を描き、徐々に全貌がわかっていく仕組み。ミステリーとしては、まあまあ良く出来ております。進行するにつれて、だんだんと「ああ、そういうことね」「これは実はこうだったのね」と分かって来るあたりは悪くありません。しかしながら、話を成り立たせるためにかなり無理してるなあと感じる所もあって、そこはちょっと興ざめですね。

(以降ネタバレあり) 最大の無理は、あの男の目の前にあの女が現れるという偶然。いくら何でもそんな偶然を軸に物語を作っちゃっていいの?って思っちゃいますよね(本作の日本版キャッチコピーは「人間は『偶然』には勝てない…」なんですけど、だからってねえ…)。濱口竜介の『偶然と想像』を観て、勉強していただきたいところです。 それと、殺人自体もちょっと唐突というか、普通殺しまではしませんよね。更には、なんであんな所に死体を置きっぱなしにしたの?とか、いろいろと釈然としないのです。

凍てついたフランスの雪国から、終盤に至って突然コートジボワールに飛んで…というあたりは、ネット時代ならではのワールドワイドな飛躍と広がりで、いいんですけどねえ(観ている方も、寒くて重苦しい空気から一気に解放される感じです)。

ラストは、なんか落語のサゲみたいで嫌いじゃないですね。

 

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2022年1月10日 (月)

「マトリックス レザレクションズ」:面白くないなー    #マトリックス #マトリックスレザレクションズ #変な日本

1_20220110224401 映画『マトリックス レザレクションズ』は、シリーズ第3作以来18年ぶりの第4作。ってわけで、キアヌ・リーヴスもキャリー=アン・モスもそれ相応に年取ってます。まあ、その間に監督も「兄弟」から「姉妹」になって、本作はそのうちの一人だけ(ラナ・ウォシャウスキー)が監督しておりますが…。

もともとこのシリーズを面白いと思うことはありませんでしたし、第1作からしてよくわからん話が、回を追うごとに複雑化して行って、もう面倒くさいんで勝手に目の前を流していたって感じでした。毎回、どんな話だったのかよくわかっておりませんでした。

それは本作も同じ。何のことやらよくわからず、それ以上に強力な催眠効果があり、ずーっと眠くてたまりませんでした。その上、マトリックスをゲームとしている世界がセルフ・パロディー的に描かれて、笑えもしないし、脱力してしまうような違和感しかありません。

これまでの3作(特に1作目)のような印象的ビジュアルの発明もなく、延々と既視感のあるアクションが続くだけ。いやー、まったく面白さを感じられなくて、まいりました。退屈しました。キアヌもすっかり脂が抜けちゃって…。

謎の「東京」を走る謎の電車も、久々に見た「ハリウッドが描く変な日本」でありました。

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2022年1月 9日 (日)

展覧会「戦後デザイン運動の原点 デザインコミッティーの人々とその軌跡」    #戦後デザイン運動の原点 #デザインコミッティーの人々とその軌跡 #デザインコミッティー #川崎市岡本太郎美術館 #松屋

Dsc_00012向ヶ丘遊園前の駅から速足でてくてく15分ほど歩き、川崎市岡本太郎美術館で開催中の展覧会『戦後デザイン運動の原点 デザインコミッティーの人々とその軌跡』(~1/16)を観ました。ここを訪れるのは、以前ウルトラマンの展覧会に来て以来二度目です。

Dsc_0002 入口では太郎先生がマスク姿でお出迎え。岡本太郎の常設展会場を抜けると、この企画展の会場が現れます。「デザインコミッティー創立」「国際交流とデザインの普及」「サロンとしてのコミッティー」「デザインギャラリーの展開」の4章に分けた構成で、1950年代から今日に至る日本デザインコミッティー(初期は、国際デザインコミッティー)の活動とメンバーを通して、戦後日本のデザイン史を概観する試みです。岡本太郎も初期のコミッティー・メンバーだったってのが、ここでやる理由です。

それにしても太郎さん、異質です。コミッティーに「巾」をもたらしたという解釈もあるようですが、あくまでもデザインじゃなくてアートの人ですもんねえ。どうしたって、異物なのです。「坐ることを拒否する椅子」なども展示されていましたし、モダンデザインを否定するコメントも掲示してありましたが、モダニズムや機能性と真っ向から対立するこの人をよくメンバーにしていたものです。懐が広い組織だったのですね。

Dsc_0003 今に至るも名作デザインのロングセラーとしてそこかしこで見かける商品(バタフライチェアや白山陶器の醤油さしなど)も展示されていましたし、東京オリンピック(1964)もコーナーを設けてありました。展示会場は撮影禁止でしたが、イサムノグチの灯りのコーナーは撮影可でありました。

往時の日本のデザインが、どれだけ優れていたかの証左みたいな展覧会です。東京オリンピックなんて、今年そのまま使った方がよっぽど良かったろうにと思うようなデザインだらけです。どの作品も、どのデザインも、厳しく突き詰めて洗練を極めています。それに比べて、コンピューター(マック)という道具を手にして以降のデザインの質って…。どうしても、そういう事を考えてしまいますね。

デザインを集積した売場、デザインギャラリーの運営、デザイン展の開催と、デザインコミッティーを長年支え続けた松屋(松屋銀座)の存在も小さくはないなあと思いもしました。

Dsc_00052 展覧会図録が書籍スタイルで、カラー図版もふんだんにあるのに、税込1,200円と超お買い得。当然買いました。中にはこの展覧会の会場風景の写真も入っていて、きっと会期途中からの販売なのでしょうね(この後、香川県立ミュージアムに巡回予定)。

美術館を出た丘の上には、十数メートル規模の岡本太郎作品。壮大です。下の方が『ガメラ対バイラス』(大映)のバイラスを思わせます。そういえば、太郎先生は大映の『宇宙人東京に現わる』でパイラ星人をデザインなさってましたっけ。

 

 

 

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2022年1月 8日 (土)

「ジャネット」「ジャンヌ」:珍妙/良質な2部作    #ジャネット #ジャンヌ #映画ジャネットとジャンヌ #ジャンヌダルク

1_20220108232101 映画『ジャネット』と『ジャンヌ』は、ジャンヌ・ダルクの幼年期と従軍後の異端審問を描いた2部作。2017年と2019年の作品となっており、1時間52分と2時間18分。まあ、2時間前後の作品の2本立てだから普通なんですけど、4時間10分の作品を前後編に分けて上映していると考えると、なかなかの大作ですね。

しかも2作とも(驚くことに)ミュージカルなのです。しかもヘヴィーメタルとかプログレとかの方面。『ジャネット』ではやたらとヘッドバンギングの踊りが出て来ます。踊りはすべてにわたって、ゆるゆるで適当。なんか「コントですか、これ?」って感じなのです。普通に失笑してしまうようなヘンテコさが続くのです。

ジャンヌ・ダルクを演じるリーズ・ルプラ・プリュドムは、『ジャネット』の撮影時に8歳、『ジャンヌ』の撮影時に10歳だったそうですが、『ジャネット』の後半には別の女優さんが15歳のジャンヌを演じていたりもします。なので2本連続して観ると、ジャンヌが大人っぽくなったのにまた子供に戻っていて、かなり面食らいます。

1-1_20220109000101 2作のトーンは結構違います。『ジャネット』は、えらく珍妙。ミュージカル比率も高く、珍作と呼ぶのがふさわしい微妙な出来。ちょっと退屈もします。 一方の『ジャンヌ』は、結構シリアスに異端審問を描いていたりして、会話劇の割合が高いものですから、ぐいぐい引き込まれます。こっちはほとんど普通に「良い映画」です。面白いです。ただ審問中、忘れていた頃にいきなりミュージカル場面が始まって、唖然としてしまいましたけど…。そして、審問の場となるのが歴史の古そうな本物の壮麗な教会。やっぱり「場の力」「本物の力」ってものが出ています。

宗教的な考察は大江戸にはできませんが、トリッキーな形を取ることによって、むしろ本質への問いかけをしっかりと行っているのではないでしょうか? また、今日的なジェンダー論の側面も出てきてますし。  『ジャンヌ』だけ観てもいいかも、なんて思ってしまいました。

 

 

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