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2006年5月 2日 (火)

珍味なり、「娘の結婚」

日テレの2時間ドラマで「娘の結婚 “晩春”より」というのをやっていて、途中から見た。市川崑監督による小津の「晩春」のリメイクなのだが、かなりの珍品であった。あの脚本やダイアローグを(ほとんど)そのままに、現代を舞台にリメイクしているのだが、まあ、用語や言い回しに圧倒的な時代ギャップがあって、まるで古語を聞くかのよう。なんか笑ってしまいます。 でも、本当に美しい日本語なんだけどね。丁寧で、父親にもかなりの敬語を使っているし。 笠智衆と原節子に代わって長塚京三と鈴木京香なんだけど、これが親子に見えない。普通に見て55歳と35歳ぐらいに見える2人だが、むしろ夫婦と言った方がしっくり来る。しかも笠智衆の残像とのギャップがねえ。 原節子と鈴木京香は雰囲気的にぴったりなので、そこらへんからこの企画がスタートしたのかも知れないが、長塚は分が悪い戦いだった。 あのセリフを棒読みして深みを出せるのは笠智衆をおいて他にないし、「うん。」というだけで、その背後のいろんなニュアンスや言えなかった言葉を表現していた笠智衆の唯一無二の凄さを改めて認識しました。 緒川たまきも珍味で良かったぞ。

映像は、正面からの人物のバストアップの切り返しなど小津的要素も入れ込んでましたが、室内の光と影の使い方やトーンはいつもの市川崑でした。

でも、これってほとんどお笑いパロディーと紙一重の怪作。 御年91歳!の市川監督、次は自作のリメイク「犬神家の一族」(石坂金田一の再登場)を制作中だそうです!!

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