「紀子の食卓」の狂気 つぐみの狂気
園子温監督の「紀子の食卓」、やはり凄かったです。 “家族”がぶっ壊れた時代のホームドラマの極北。 今という時代と格闘し、2時間39分のスケールが似合う堂々たる“精神の旅路”。 こわい、でもいとおしくも切ない。 DisgustingにしてBeautiful、つまり「キレイはきたない、きたないはキレイ」。 作品の基調を形作る膨大なモノローグの、リリカルでハードボイルドで麻酔的な効果。 まあ、終盤に失速して傑作になり損ねた感は否めないのですけれど・・・。 役者も皆素晴らしく、吹石一恵(メガネっ子高校生姿が良く似合ってた。今24歳だけど)も吉高由里子も光石研も見事に見せる見せる。 だけど、やはり、いつもの更に上を行く つぐみ のリアルな狂気が凄い。ロッカーでの登場場面など、立ってるだけで異様でぞっとするという、「羊たちの沈黙」でのハンニバル・レクター=アンソニー・ホプキンスの登場場面と並ぶものがありました。大江戸は「月光の囁き」(塩田明彦)の頃から、つぐみ は高ーく評価しています。本作品でもセーラー服を着て高校生に混じっていたかと思うと、吹石のお母さん役を“演じ”たりして、本当にどっか変な人、アブナイ人としか思えないところがまたスゴイところです。
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