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2007年2月12日 (月)

「それでもボクはやってない」への賛辞

ようやく「それでもボクはやってない」を観ました。やはり見事なまでの剛球というか、ストレートな怒りが心を揺さぶります。その怒りは周防監督のものであり、それが冷静な熱意で我々の心に届き、我々の正義の感情が全開となるのです。11年ぶりの周防映画は相変わらず朴訥で、決してうまくはなくて、親切すぎるほどの話法なんだけど、全編を通して感情移入してしまうし、泣かせようとか盛り上げようとかの作意はないのに、思わぬところで目頭が熱くなってしまうのです。密度の濃いエンタテインメントとして成立させていて、しかも決して甘くはない。 この映画が作られた意義はシドニー・ルメットの「12人の怒れる男」が作られたことと同じくらい重要だと思います(冤罪ものということではジョン・フランケンハイマーの「フィクサー」も思わせます)。 本作をきっかけに日本の裁判とその周辺が少しでも変わってくれたらと願わずにはいられません。男とか女とか、被害者とか加害者とかの立場を越えた「人間の尊厳」と「正義」への希求がテーマなのです。魂のこもった仕事です。

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