「人のセックスを笑うな」の味わいと役者たちの素晴らしさ
評判も良く、ミニシアター系としてはかなりヒットもしている映画「人のセックスを笑うな」ですが、やはりしみじみといいですねえ。フィックスのロングかミディアム・ショットでの長回しが基調となっていて、そのゆったりとした時の流れの生み出す世界の、なんと映画的に豊かで心地良いことか。このネタで2時間17分だと普通長すぎるはずなんですけど、本作に関してはそんなことはなく、むしろもっとこの人たちのことを見ていたいなあと感じました。この空気とニュアンスが、日本映画の良さですねえ。相米慎二の長回しにも通じる味があり、やはり相米映画がそうだったように、役者たちが皆素晴らしいです。
ああ、永作博美がスゴイ!昨年の「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」でも久々の登場で、ある種の怪演を見せていたと思ったら(賞も色々もらってましたね)、ここでまた圧倒的にしなやかでしたたかな芝居を見せてくれていて、「いつの間にこんな名優になってたの?」って感じです。 松山ケンイチも受けの芝居ながら、ナチュラルっぽさが素晴らしいし、あがた森魚さんもユニークな味が生かされています。 そして蒼井優がこれまたスゴイ!長回しの中で、彼女の全身を使った体技と発声が、今までの彼女のレベルを凌駕して、見る者を驚嘆させます(しかもニットキャップをかぶった姿が朝日新聞連載のマンガ「オチビサン」みたいでした??)。「みぃーるーめぇーくーん! あーそーぼーっ!」の叫びとか、ベッドの上でのジャンプとか・・・、予想を超越する演技です。 なんか早くも、今年の主演女優賞と助演女優賞はこの作品でキマリか?!って思っちゃいました。
| 固定リンク
コメント