コンパクトに良質な「バンテージ・ポイント」
映画「バンテージ・ポイント」は娯楽映画として良く出来ています。同じ時間、同じ場所の出来事を8人の登場人物それぞれの視点からリピートしていくというアイディアはトリッキーなだけではなく、少しづつ事件の全貌を明らかにしていくという巧妙な手法でもあります。
でも本作が本領を発揮するのは、むしろその後。リピートが終わって、1本に縒り合わさった糸がダイナミックに疾走してからです。監督デビュー作というピート・トラヴィスのチャキチャキしたキレのいいアクション演出が冴え(その前からカット数多めのモンタージュは見事でしたが)、カー・チェイスのシーンは観たことの無いほどのド迫力でした。カット割りもスゴイ。 「ダイ・ハード4」みたいにCGを使いすぎると興ざめになりますが、ここではナマのカーアクションがガンガン迫ります。 そして、フォレスト・ウィテカーの『いい人パワー』炸裂!(「パニック・ルーム」では、この「いい人」性のために失敗しちゃうんだよなあ、彼は) 電話をかける表情だけでグッと来させるなんて、さすがはオスカー男優です(受賞作では悪い人=アミン大統領だったけど)。
1時間30分というコンパクトな上映時間もいいですね。「ブレーキ・ダウン」とか「セルラー」とか、切れのいい、アイディア勝負のサスペンス・アクションの良作は、だいたいにおいて1時間半ぐらいでダレ場なくまとめてくれるのです。毎年1-2本ぐらい、そういうのがありますよね。
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コメント
観てきました。「バンテージ ポイント」
おもしろかったー。途中で心臓がバクバクしました。
フォレスト・ウィテカーはやっぱ素朴系がいいですね。
投稿: risi@いけばな | 2008年3月11日 (火) 17時40分