「パラノイドパーク」の静かな重さ
ガス・ヴァン・サント監督の「パラノイドパーク」を観ましたが、うーん、ライトウェイトなのにヘヴィーなパンチ。 高校生の少年たちと重大な事件を淡々と描くってことでは同監督の「エレファント」と共通しますが、小生は断然こちらの方を支持します。 言葉にしてしまうとチープだけど、日常をあっという間に非日常に変えてしまう事件の重みと、その受け止め難い非現実感。それでも普通に続いていく日常と、もう戻れないという絶望感、それすらも他人事のような夢幻感と、心の中の罪と罰。巻き戻せない時間と取り戻せない世界への、どうしようもない悔恨。 淡々と日常の描写を積み重ねていく中に、じんわりと、しかも重くのしかかってくる不安・・・しかし、それが美しく描かれることで、また一つ高い次元に昇華されています。これはリアルかつ詩的なホラーです。 あたかも文学、でもまぎれもなく映画です。深いです。 万人向けではないけれど、お見事です。
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