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2008年6月22日 (日)

映画「休暇」の良さ

映画「休暇」はなかなかの佳作でした。原作は吉村昭の短編だそうですが、日本の死刑囚と死刑執行に至る過程をこんなに克明に描いた作品は、かつて無かったと思います。しかも、そこに中年刑務官の再婚ばなしを絡ませたところが、この映画のキモ。そして描写はあくまでもクールで、心情や理由の絵解きなんて野暮なことは一切しません。かなり重要なこともニュアンスだけで示され、それを理解できる者は理解できるというスタンスで物を語っています。でも、そこがこの映画の豊かで、真に『映画な』部分です。日本映画ならではの良さに満ちています。 小林薫が死刑執行後の旅行の夜、連れ子を抱きしめるその動作が、吊る下がった死刑囚を支える体勢を想起させるあたり、この物語の白眉でしょう。 

時制の交錯に関しては、あまり効果が出ておらず、むしろ無用の混乱を招くだけのように思えました。 でも小生は門井肇監督のデビュー作「棚の隅」を(先日閉館になってしまった)シネマアートン下北沢でちゃんと観ておりますが、文化庁の支援もあってスケールアップした本作で、大いに成長を見せていることは確かです。 小林薫、西島秀俊、大塚寧々、大杉漣など役者たちも皆よろしく、特にベテラン刑務官役の菅田俊がいい味出してました。

タイミング的には死刑是非論議と重なりますが、それとは離れたところで物を語っている映画です。何が正しいとか間違ってるとか、いいとか悪いとか主張せずに、ただ人間と社会のある側面を描いています。その姿勢をむしろ支持したいと感じました。 ちなみに昨今の問題に関しては、大江戸は法相擁護派ですね。死刑が存在している現在の日本で、執行を前提に(十分な証拠と審議により)判決が下された死刑囚に対して、いつまでも執行の判を押さないのは、法治国家の根幹を揺るがす問題ではないでしょうか。そりゃあ法相としても自分の代で執行させない方が気が楽でしょうし、一部世間からも叩かれないでしょうけど、それって職務放棄じゃないでしょうか。

それにしても死刑前に、教誨師が出てきて聖書を読んだりするんですねえ。一応仏教国日本だと思ってたので、びっくりしました。

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