「井上雄彦 最後のマンガ展」の凄さ
上野の森美術館で「井上雄彦 最後のマンガ展」を見ました。本年、いやここ数年でも屈指の展覧会でしょう。とにかく凄い試みです。展覧会のためにオリジナルで描きおろした140数枚のオリジナル原画を、観客一人ひとりが自分のペースで見て進んでいくだけの、マンガを読む展覧会。 “展覧会”の概念と枠組みへの挑戦であり、展覧会を超えた「時間と空間のショウ」って感じです。
もう最初の部屋から、大きな絵の迫力と井上の巧さに圧倒されます。人物の正面からの絵なんて、ホント顔をしげしげと見て飽きないというか、見事な顔を描いてくれてます。風景も見事。抽象的表現も見事。哲学性も見事。白と黒の世界の広がりと象徴性と美しさ。 武蔵にとっても観客にとっても、140余ページの精神の旅が展開され、終盤の大きなスペースと、続くラスト部分(砂が敷きつめられてました)には、深い感銘を受けました。 やはり“マンガ”の領域からも“展覧会”の領域からも越境してます。「何か偉大なもの」に触れた感慨が残りました。 ちなみに私は「バガボンド」を、いや井上雄彦をぜんぜん読んだことがありませんが、世界に誇れる才能だと感じました。 井上さんと言えば、数年前に廃校の教室の黒板を使ったその場限りの「スラムダンク展」も凄かったようですね。 閉館近くとか、雨の日とか、比較的混雑していない時間の鑑賞をお勧めします。
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コメント
こんな展覧会をやっているとは知りませんでした。
つい先日、本屋で立ち見をしていて、井上雄彦がニューヨークだかどこだかで壁画を描いた、という写真と記事を見ました。「SWITCH」とか「風の旅人」とか、そのテの雑誌をおいてあるコーナーにいけば、まだあるとおもいます。
なかなかのモンでたいへん感心したのですが、よもやこんな事態になっているとは・・・。
「バカボンド」は息子のをチラっと見ただけで、今までの劇画とは一味違うな、と思った程度。己の不明を感じます。
投稿: risi@いけばな | 2008年6月14日 (土) 10時46分
来週中には見に行きたいと思っていましたが、やはり混んでますか…。
美術館て平日でも意外と混んでたりしますよねぇ。
でも、『最後の』という事なので、絶対行きたいのです~!
投稿: ナオチン | 2008年6月14日 (土) 23時43分