「ファニーゲームU.S.A.」のいやーな感じ
気分が悪くなりたければこの映画を観るがよい。実にいやーな感じです、「ファニーゲームU.S.A.」。実にファニーじゃないです。開巻早々のクレジットタイトル途中で、ヘンデルのクラシックがデスメタルの騒音にかき消されるところから不快感が始まり、それは最後まで積み重なっていきます。白い服を着た清潔そうな好青年二人が、こんなにも不気味で鬼畜だなんて!白い服や白い手袋がこんなにも不安感や嫌悪感をかきたてるなんて! 観てる者の精神をじりじりとキリキリといたぶってくれて、身体までおかしくなっちゃいそうなスゴイ映画です。これ観てトラウマになっちゃう人、けっこういるだろうなー。
反モラル、反人道、反アメリカ映画的なこの展開、この暴力と非道。まさにハネケという底意地の悪さ(ハネケ自信のセルフリメイクなので、レイトショーでリバイバル中の、その原点である’97年作品も観なければ・・・) それにしても、映画の技量は見事です。 だから、青年から映画の観客への語りかけだとか、あの驚愕の禁じ手(!)だとかのトリッキーな表現に走らなくても良かったのに、との思いはぬぐえません。そこは成功してないもん。
金を払って嫌な気分になりたい人は必見! そしてスクリーンの中の悲惨さを観て、現在の自分の状況の幸せさを噛みしめたい人も、是非どうぞ。
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