昨日の夜やっていたフジテレビの単発ドラマ「駅路」。松本清張の短編を向田邦子が脚本にしたもので、さすがに向田カラーがちゃんと出ていました。女性の業や内側を描かせれば天下一品と言われる向田ですが、いやいやどうして、いつも男性の描き方に感心させられます。昭和の終焉とからませた意図は、いまいち「?」だったけど。
(以下ネタバレあり) 最近はプロデューサー仕事が多かった杉田成道監督の演出も端正に見事で、特に終盤の深津絵里、木村多江、役所広司それぞれの独白シーンを、それぞれに合わせたサイズで描き分けるあたり、素晴らしかったです。3人の芝居もここがクライマックスなのですが、いやー、木村多江の緊張感が鬼気迫る感じで、それと拮抗する超アップのキャメラが見事です。 ラストの役所も、これはまさに名演でしょう。
まあ思ったよりはあっさりと軽い味わいなのですが、そこに人生の哀感+アルファをしっかりと描き切りました。あのアラン・ドロンの「地下室のメロディー」のラストで、プールを埋め尽くすお札のように、「愛」の証としての写真が湖面に浮かび上がって来るシーン、そこでの「最後に愛を確認できた」深津の表情。ここがキモですね。 それと、深津と石坂浩二の関係を物語る写真、このクォリティが高くて説得力がありました。実はあの写真の出来こそがキモだったと思います。ドラマ以上に雄弁に、多くの事を語っていました。
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