今頃ですが「ナラタージュ」
2005年刊行の島本理生の小説「ナラタージュ」のハードカヴァーが古本屋で100円で売っていて、なぜか「私を買ってください」オーラが出ていたので買ったのですが、なかなか結構でした。 作者が21-2歳の頃の作品で、高校生-大学生(そしてそれ以降)にかけての少女の断ち切り難い一途な思いを軸にした「ザ・恋愛小説」です。まあ欠点はありますけど、けっこうぐいぐいと引っ張ってくれますし、終盤の畳み掛け方はかなり優れています。
ラスト前の駅のホームだとか、数年後を描くラスト(むしろエピローグか)だとかは実に映画的だと思うのですが、今のところ本作は映画化されていませんね(たぶんドラマ化もされていないはず)。 それにしてもこのラストは(ちょっとあざとい気もするものの)、うまく小道具と伏線を使いながら、「永遠の思い」が一方通行で無かったことを鮮やかに示して、見事なエンディングでした。爽やかな幸福感がほろ苦さの中から立ち上って来るのです。ちょっと偶然に頼りすぎてはいるのですけどね。
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