「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」 見事な傑作
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」をしばらく前に観ましたが、いやー凄いです。日本のアニメ史上でも、「千と千尋の神隠し」に勝るとも劣らない最高峰ではないでしょうか。TVシリーズから大きく逸脱し、新しい道を歩みながら、新しい感銘を生み出しています。 またエヴァ的世界を継承しながらも、さらに深く大きな何かに迫ろうともしているかのようです。
新たな息吹を吹き込まれたキャラクターたち。学園ドラマ部分のみずみずしさ。サービス・ショットの萌え感。戦闘シーンのド迫力の凄まじさ。それら全てが実に質の高い映像で、見る者の視覚的喜びを刺激し続けます。海は赤いし、使徒はヒエロニムス・ボッシュの「快楽の園」に出てきそうだったりしてるし・・・。 またシンジの、レイの、アスカの、それぞれの悩みが痛く刺さりますし、一方で全てが『愛』に収斂されていくというか、『愛』が全てを突き動かしているあたりが“力技”で描かれていて、素晴らしいです。
「今日の日はさようなら」や「翼をください」の使い方に唖然としながらも、ああこれが庵野だよなあ、「ラブ&ポップ」のエンドロールでも「あの素晴らしい愛をもう一度」を使ってたよなあなどと思いました。 それよりもむしろ「太陽を盗んだ男」の挿入曲の使用にびっくりしましたが、これがいーーーんだ!なんでもない日常の素晴らしさが、とにかく日常を生きることの美しさが、ひしひしと迫って来るんですよ。お見事!
そもそも「1・2・3」とか「続」とかの代わりに「序・破・急」を使うあたりのセンスからして凄いのですが、エンディングの予告で「急」ではなく「Q」だってのがわかって、さらにぶっとびました。「1Q84」か?! まあ“Quickening”だそうですから、それってやっぱり「急」じゃん。
もう一度観たい、いや観なくては、です。もちろん(今のところ)今年の邦画ベスト1です。新宿ミラノ1のロビーには初号機とレイの特大フィギュアが展示してありました。それにしてもこの「ギララみたいな初号機」をグチャグチャな太線で描いたポスター・ビジュアルもアヴァンギャルドで、ホント凄いですねー。
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