力作「沈まぬ太陽」
映画「沈まぬ太陽」、久々のインターミッション(休憩)入りで3時間22分の大作です。「タイタニック」(調べてみると3時間9分説と3時間14分説がある。なぜ??)よりは長いわけですが、昔はインターミッション入りの映画が多かったので、「バリー・リンドン」なんか3時間6分でインターミッション入りだったし、「2001年宇宙の旅」に至っては2時間21分なのにインターミッションが入ってました(こちらの上映時間は本編のみ)。「風と共に去りぬ」「十戒」「ベン・ハー」「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」など4時間近い作品は当然インターミッション入り。それが大作の風格ってもんでした(実際、トイレ休憩は必須。昔はタバコ休憩でもあったんでしょうね。)
肝心の内容もなかなかの力作でした。TV出身で、あのしょーもない「ホワイトアウト」の若松節朗監督ってことで懸念したのですが、意外と(と言っては失礼ながら)健闘していました。時代の雰囲気もそれなりに再現されていたし、ダイジェストぎりぎりのところで熱いドラマを成立させていました。原作を読んでいませんが、多岐に及ぶ登場人物やエピソードを手堅くまとめていて、キチンとメッセージ性のあるエンタテインメントとして観客に届けていました。 役者たちも良く、堂々たる渡辺謙、悪役演技が見事な三浦友和(しかも最後に社屋を見やるところの味!)をはじめ、この時代には珍しく山崎豊子の世界が似合う曲者役者たちを結構揃えていました。神山繁とか品川徹(「クヒオ大佐」の冒頭にも出てました)とかね。品川徹さんの『一人異次元』感はスゴイです。へんな例えですが、柏レイソルのピッチで一人フランサの次元が違ってるみたいな感じで・・・。 とは言え、山本薩夫監督作品における佐分利信、小林桂樹、三國連太郎、仲代達矢、小沢栄太郎らの曲者ぶりとは比較すべくもないのですが(まあ、それが時代の移ろいってもんで・・・)。
まあ、このような「大人向けの」「大人の鑑賞に耐える」映画がコンスタントに欲しいですね。それでこそ日本映画が質的にも成熟するってもんですし、少しでも黄金期に近づけるってもんです。
| 固定リンク
コメント