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2009年12月27日 (日)

「キャピタリズム」の正義と告発

マイケル・ムーアの新作「キャピタリズム マネーは踊る」は、良い意味で相変わらずのマイケル・ムーア。毀誉褒貶の多い人ですが、大江戸は常に支持しています。だって、一般的な市民にわかりやすく、世界中の許し難いインチキを告発して、それがエンタテインメントとしても成立しているという離れ技を、毎回毎回成功させているのですから。 その推進力として“憤り”があり、背後には古き良きアメリカ的正義を愛する気持ちに溢れています。これを偽善者やヤマ師扱いしちゃあいけませんや。

今回はメガバンクや金融業界のトップをヤリ玉にあげていますが、やはり驚愕の事実がいくつも暴かれていました。「デリバティブ」のあまりの複雑さに、説明ができないハーヴァード大学教授。二次方程式まで用いた金融工学の産物として作られ、誰も理解できないからそのインチキを指摘されずに済んでいるという指摘。 昔は優秀な学生が科学者になったりして、人類の進歩と幸福のためになる仕事をしていたのに、今の優秀な学生はみなウォール街に行ってしまい、その頭脳をマネーゲームに費やすため、一生懸命働くほど人々が不幸になり、何も世の中のためになっていないという指摘。 資本主義はキリスト教の教えに全面的に反しているという聖職者のことば。 その神による鉄槌のごとくリーマン・ショックが起きても、結局貧乏人が被害を蒙るだけで、金融界のトップは巨額のボーナスを得られるような歪(いびつ)さ。 相変わらず観る者の心をアジテートしてくれます。

もしかしてムーアって、その正義への希求において、現代のフランク・キャプラなのかもと思わずにはいられません。 エンドタイトルに「インターナショナル」が流れたことにもビックリしました。ある意味では愛国者のムーアが、社会主義に肩入れするような、しかしそれこそが現代の民主主義であるというパラドックス。思えばキャプラも社会主義的な側面を持ちながらも、真にアメリカ的な正義の作家でした。

劇場内には初老の夫婦とその娘や息子といった家族連れも散見されましたが、父親が銀行のエライさんだったりしたら、けっこう気まずいものがありますよね。 まあ小生の知り合いの銀行の人たちも、実は真面目な良い方々なのだと思います。ホントにワルいのは、ズルして95%の富を独占しちゃってる1%のヤツらなのですから。

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「キャピタリズム~マネーは踊る~ 」★★★ マイケル・ムーア監督、127分 、 2010年1月9日公開、2009年、アメリカ (原題:CAPITALISM: A LOVE STORY)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 「おデブなマイケル・ムーア監督がヨタヨタと歩きながら、 キャピタリズム(資本主義)支配下で大金を動かす組織や CEO(最高責任者)にマイクを付きつける、 正義とい... [続きを読む]

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