「ゴールデンスランバー」、最良ではないけど・・・
映画「ゴールデンスランバー」、評判が凄く良いのですが、大江戸の期待には届きませんでした。 中村義洋監督って、淡々と描写を積み重ねたり、とぼけた味で笑わせたりするのは得意なんだけど、圧倒的なクライマックスを盛り上げていくワザは辞書にないみたいで、そこがバジェット大きめの娯楽映画を撮った時には難点として残ってしまうみたいです(「チーム・バチスタの栄光」、「ジェネラル・ルージュの凱旋」、そして本作)。この人の個性が生きたのは「ルート225」や「ジャージの二人」。ウディ・アレン好きだってことを言ってましたが、なるほどと思うところはありますね。
巻き込まれ型逃走サスペンスとして、「知りすぎていた男」「北北西に進路を取れ」「逃亡者」など過去の名作を思わせる部分はありますし、下水管の中を逃げるところなどは「第三の男」を思いださないわけにはいきません。しかしそれらの作品に比べると、やはり弱いなあと思わずにはいられません。 でも、この作品をそれなりに面白い地点にまで引き上げたのは、濱田岳演じるキルオの存在。このキャラクターの面白さで、かなり作品に広がりや味わいが出ました。さすがは中村監督の秘蔵っ子です。堺雅人のストレートに対して、見事なフォークボールになってます。
ファースト・シーンと呼応するエンディングの見事さには、ちょっとグッときました。うん、こういうのが映画のうまさってもんだし、中村監督らしいところでもあるのです。 なんか胸に迫ります。 それにしてもなぜ「Golden Slumbers」なのか、原作をよんでない身にはピンと来ませんでした。
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