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2010年1月13日 (水)

「(500)日のサマー」は新時代のW.アレンか

映画「(500)日のサマー」、実にみずみずしくキュートな小品です。いかにも「サンダンス映画祭」発という感じの新進気鋭感に溢れています。冒頭のナレーションで「これはボーイ・ミーツ・ガールの物語だが、ラブストーリーではない。」とわざわざ断っていますが、それでもやはりラブストーリーではあります。ただ、文化系だし、ピュアだし、一方で自制をあっちこっちへと交錯させた曲者ぶりとか、一筋縄ではいかないところが、最近のアメリカ映画になかった感覚で、うーん、ステキです。 

突然のミュージカル場面(これがいーんだ!)とか、恋の喜びの表現がラヴリーですし、主役の二人(ジョセフ・ゴードン=レヴィットとズーイー・デシャネル)がナチュラルにいい味を出しています。うーん、なんかこの二人って、「アニー・ホール」におけるウディ・アレンとダイアン・キートンを現代版にアレンジしたような趣きです。そもそもこの映画自体が、多くの面でアレン作品(特に「アニー・ホール」)を彷彿とさせます。街(かたやNY,こなたLAですが)へのこだわり、既存の映画や音楽の作中での使用、現代美術館でのデート、男の神経症的で自信喪失的なボヤキと自虐、歌う場面、別れてからの再会etc. スプリット・スクリーンで「願望」と「現実」を同時に見せるあたりは、「アニー・ホール」での会話しながら、思っていることが字幕で出るのに、通じるものがあります。96分というコンパクトさもアレン作品のようですしね。

都会の文系男心理としてはちょっぴり身につまされるというか、切なくもほろ苦い展開ではありますが、エンディングの気分の良さと(落語のような)「オチ」が見事! 脚本も演出も才気煥発な佳品で、映画賞レースにいろいろノミネートされているというのも、むべなるかなであります。

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