「時をかける少女」と仲里依紗のとてつもない輝き
2010年版『時をかける少女』は、仲里依紗を堪能する作品=現代のアイドル映画です。開巻、彼女が疾走していく横移動カットから、桜並木を歩むラストカットまで、キラキラ輝く仲さんの魅力が全編に溢れています。 小生が10代とかだったら、確実に恋に落ちてしまって胸が苦しくてしょうがなくなったことでしょう(今でも結構ヤバイっす)。
美人過ぎないところがいい仲さんですが、現代的な顔立ちの彼女が1974年でいろんな経験をするところがミソ。その割にはみんな髪の毛の色とかスカートの短さとかを気にも留めないってのは、ちょっと不自然。 でも'74年を再現する美術、衣装、髪型などの時代考証はかなり頑張ってました。さりげなく「ああ、やってるやってる」ってな、見る人が見ればわかる努力をしっかり行ってます。
仲さんは『純喫茶磯辺』にしても『パンドラの匣』にしても、結構ナチュラルに素材の良さを生かす演技で、その天才ぶりを見せつけていましたが、本作ではちょっと難しかったかな。意外と演技の引き出しが要求される役なのに、かなり類型的な芝居をやっちゃってます。おいおい、それはTV用の芝居だぞ。 なのに、そのマイナスを補って余りあるほどにチャーミングでした。あんなに魅力的なガニマタができる娘は、ちょっといません。全力疾走も胸に迫るものがありましたしね(“かける”少女だし)。 4月には「ゼブラーマン2」でダーク&セクシーなゼブラ・クイーンとやらを演じているようですし、TBSの「ヤンキー君とメガネちゃん」のメガネ少女も楽しみです。ますます目が離せません。ええ、素顔はけっこうパンクな奴みたいですけど。
作品自体はストーリーの幹が今一つ弱いし既視感もあり、ディテールの魅力に追いついていない気がするのですが、まあ力点はそこになかったのでしょうね。これがデビューの谷口正晃監督も、時代再現と丁寧な娯楽映画作りをしっかり行い、何よりも仲さんを輝かせることに注力したように感じられます。そして、それは正解だったと思うのです。 何より、時を超えた「想い」の切なさ、美しさがちゃんと描かれていました。
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