「ハート・ロッカー」と男前のビグロー
見事アカデミー作品賞をはじめオスカー6冠に輝いた映画『ハート・ロッカー』は、イラク駐留のアメリカ軍爆弾処理班を描いていますが、イラク戦争映画として高く評価された初めての作品なのではないでしょうか。 本作では思想的、政治的な面は排除され、現実を見つめる冷徹な目と、最終的にはハリウッド・エンタテインメントとして成立させる技量がシャープです。2時間11分、ダレ場はありません。 なんかテイストとしては、キューブリックのベトナムもの『フルメタル・ジャケット』に近い気もします。
キャスリン・ビグローの演出はいつもながら“男前”で、エッジが効いてます。本作では特に爆発シーンの映像が新鮮かつ見事なスペクタクルとなっています。と言っては不遜な気もしますが、いやいや大江戸の持論は「戦争が狂気である以上、全ての戦争映画は反戦映画たり得る」ってことでして・・・。現に、開巻に出てくる「戦争は麻薬である」に呼応するラストは、まさにそういうことなんじゃないでしょうか。 幾多の緊張をくぐり抜けた観客が、最後に目にする「365」という数字の絶望的な“闇”に狂気が宿るのです。
| 固定リンク
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 「ハート・ロッカー」と男前のビグロー:
» 『ハート・ロッカー』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「ハート・ロッカー」□監督 キャスリン・ビグロー □脚本 マーク・ボール □キャスト ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、レイフ・ファインズ、ガイ・ピアース、デヴィッド・モース■鑑賞日 3月13日(土)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> 色々物議を醸し出した今回のアカデミー賞。 “元夫婦対決”なんてマスコミのオイシがる素材。 興行数字は文句なしに元夫に軍配が上がっている... [続きを読む]
受信: 2010年3月16日 (火) 17時34分
» 「ハート・ロッカー」女性監督が撮った“骨太戦争映画” [シネマ親父の“日々是妄言”]
[ハート・ロッカー] ブログ村キーワード
“本年度アカデミー賞最有力、最多9部門ノミネート!”「ハート・ロッカー」(ブロードメディア・スタジオ)。現代の戦場を駆け回る“爆発物処理班”の姿を、女性監督キャスリン・ビグローが、リアルに描き出しています。
2004年、夏。イラク、バグダッドで爆発物処理の任務に就く“ブラボー中隊”。或る日、市街地で爆弾処理を遂行中に、予期せぬトラブルから大爆発が起こり、至近距離で被弾した班長のトンプソン軍曹(ガイ・ピアース)が死亡する。サンボーン軍曹... [続きを読む]
受信: 2010年3月17日 (水) 22時33分
» お薦め映画『ハート・ロッカー』 [心をこめて作曲します♪]
骨太な作品で、センチメンタルな表現は一切ない。今まであまり知られていなかった爆発物処理班の仕事において、彼らがいかに危険で過酷な状況の中、使命感を持って仕事を遂行しているかを知ることができる。... [続きを読む]
受信: 2010年3月18日 (木) 00時45分
» 「ハート・ロッカー」感想 [狂人ブログ 〜旅立ち〜]
ちなみに「ハート・ロッカー」とは、「行きたくない場所、棺桶」の意味。2004年夏、イラク。他の軍人に比べて5倍の死亡率と言われる爆発物処理班(EOD)の、38日間の任務を追う。 冒頭、処理作業中にいきなり爆発に巻き込まれて即死するトンプソン軍曹の姿に...... [続きを読む]
受信: 2010年3月21日 (日) 22時11分
» ハート・ロッカー [映画的・絵画的・音楽的]
『ハート・ロッカー』を、日比谷のスカラ座で見てきました。
むろん、この作品が本年度のアカデミー賞の作品賞を受けたことから映画館に出かけたわけですが、見る前まで、タイトルはテッキリ『Heart Rocker』だとばかり思い込み、戦争と音楽がどのように関連付けて描かれているのだろうと興味がありました。ですが、実際には、『Hurt Locker』とのこと。『ワールド・オブ・ライズ』も、『World of Rise』ではなく『World of Lies』だったことが思い出されます!
(1)映画は、イ... [続きを読む]
受信: 2010年3月26日 (金) 06時30分
» ハート・ロッカー [活動写真放浪家人生]
<シネプレックス小倉> 「あ、今日が授賞式か。」劇場前のテケツでそのことを知った。『アカデミー賞 [続きを読む]
受信: 2010年3月31日 (水) 23時34分
» 【映画】ハート・ロッカー [新!やさぐれ日記]
▼動機
戦場ドキュメンタリーっぽさに惹かれて
▼感想
ドキュメンタリーじゃなかった
▼満足度
★★★★★☆☆ このへん
▼あらすじ
2004年夏、イラク・バグダッド郊外。アメリカ軍爆発物処理班・ブラボー中隊のリーダーに、ウィリアム・ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)が就任する。まるで死への恐怖などないかのように遂行されるジェームズの爆発物処理の様子に、仲間のサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)らは不安を抱く。
▼コメント
「戦争は麻薬」というテーマを打ち立てたまではよか... [続きを読む]
受信: 2010年4月 6日 (火) 19時56分
コメント