デニス・ホッパー逝去
デニス・ホッパーが74歳で亡くなりましたね。考えてみれば『理由なき反抗』(1955)の頃からハリウッドの一線で活躍しているんですから大したものです。途中、アルコールとドラッグでボロボロになりながら、『勝利への旅立ち』『ブルー・ベルベット』(フランク役を怪演!)で奇跡の復活を果たしました。
『イージー・ライダー』『地獄の黙示録』などヒッピー文化の申し子的な役柄で一世を風靡しながら、後年は『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』『スピード』『ウォーターワールド』などの大作での悪役を演じましたが、ホッパーの個性とはどうも合ってなかったように思います。むしろホッパーらしかったのは、現代美術界のヒトとしての一面を生かした『ハートに火をつけて』(『バックトラック』)『サーチ&デストロイ』『バスキア』など。本当に彼は現代美術への造詣が深く、収集家でもあり、自身写真家でもあり、アート畑の人々との交流も有名でした。
大江戸としては『ハートに火をつけて』(後に自分で編集した『バックトラック』も公開されましたが、先に本作が公開された時はスタジオ側の編集が不満だったホッパーが監督としてクレジットされるのを拒んだため、アラン・スミシー(名無しの権兵衛)監督作として世に出ました)における殺し屋役が印象に残っています。クールなくせに、ジョディ・フォスター演じる現代美術家(映画では彼女の作品として、ジェニー・ホルツァーの電光文字アートが使われています)に、うぶな男の子のように純情な恋をしてしまう役柄。クライム・サスペンス・アクションかと思わせといて、実は奇妙な純愛映画。好きだなあ、コレ。
監督としても『イージー・ライダー』を皮切りにいくつもの作品を残しましたが、大江戸的にはこの『ハートに火をつけて』と『ホット・スポット』が好きですね。 若い頃の貫禄ないのっぺり顔に比べ、晩年はヒゲとシワがカッコいいステキなジジイになりました。合掌。
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