「乱暴と待機」:ヘンな映画大好き
映画『乱暴と待機』、予告編が相当にヘンでそそられましたが、本編も期待通りヘンで面白かったです。 本谷有希子原作の映画ってことで言えば、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』よりも、こっちの方が好きですねえ。屈折しまくってます。悪意とシュールなおかしみが、スリリングな笑いを生んでいます。 そもそもタイトルがハンパないすよね--乱暴と待機。うーむ。
登場人物はほとんど4人。場所もほとんど市営住宅と、当然ですが舞台劇的。その中で濃密に繰り広げられる芝居は、もう4人のヘンなキャラ合戦の様相を呈していて、笑えます。当たり前過ぎる台詞を直球棒読みの浅野忠信。サバサバと暴力的な小池栄子。ダメダメで姑息な山田孝之。
しかしチャンピオンは、オドオドと顔色をうかがい愛想笑いを浮かべる美波でしょう。登場場面のほとんどが霜降りグレーのスエット上下に地味メガネ。ちょっと仲間さんのヤンクミを思わせたりもしますが、もっと病的でヤバイ感じ満載です。小生は彼女の舞台『エレンディラ』(蜷川幸雄演出)を観ていますが、あの彫りの深いゴージャスな顔の美波が、地味地味に演じているからこその味もありますね。好事家にはたまらんところでしょう。浅野忠信への「おにいちゃん」という呼びかけなんて・・・!
監督の冨永昌敬は『パビリオン山椒魚』『パンドラの匣』、そしてコレと、ホップ・ステップ・ジャンプで良くなっております。ヘンな持ち味には今後も期待大。 復讐をめぐる人間ドラマ(?)としては、『ヘヴンズ ストーリー』よりもこっちの方が、小生好みのテイストなんであります。
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コメント
これは期待してた以上に面白かったです。
小池栄子が凄いw。妊婦なのに奈々瀬ちゃんをお腹で小突いたりしてw。あけすけなあずさ役にぴったり。最初は「嫌な女だなぁ」と思ってたら段々可愛くみえたり。
奈々瀬が苛ついたw。浅野忠信はメジャーな作品よりこういう小粒的なのが好きなのかも・・と思ったな。テアトル系の映画館だからヒットしてもたかがしれてるよなぁ。
投稿: ブリ | 2010年10月29日 (金) 18時24分