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2010年10月23日 (土)

「ヘヴンズ ストーリー」:278分1本勝負

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4時間38分という超長尺の映画『ヘヴンズ ストーリー』を観ました。10分の休憩と10分ほどの予告編を合わせると、5時間にもなるという驚愕の作品です。でもとりたててしんどくはなかったです。長尺映画の2本立てよりは楽じゃないかなあ。

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殺人と復讐の物語がメインの流れとしてはあるのですが、そこに多くの人々が絡んできて、人生の協奏曲となっている趣き。映画を観ることの面白さは、やはり「人間を観ることの面白さ」なのだなあ。私たちはスクリーンの中に、数多くの(けっこう極端な)人たちの「生(と死)」を観ることができる=自分以外の人生の切れっ端をかじることができるのです。それが甘かろうと、苦かろうとね。

役者たちがみな素晴らしいですね。特にメジャー級の俳優は佐藤浩市と柄本明ぐらいなんですけど、この小生が「見たことあったっけ?」と思うような人が結構大きい役やってたりして、それがいいんです。菜葉菜とか、長谷川朝晴とか、大島葉子とか、山崎ハコ(!)とか。忍成修吾なん1008396_03て、彼のベストに違いありません。

撮影も素晴らしく、この現代とこの世界を捉えて、リアルで、しかも美しい(フォトジェニックということではなしに)。廃墟団地とその遠景の空気感とか。四季を通じて、暑さや寒さなど、しっかり空気が撮れています。

本作の広告コピー「二十一世紀の<罪T0009110aと罰>」ってのが大げさではないほどに、時代と人間をきっちり描いています。でも終盤ちょっと物足りなかったかなあ。 なにか奇跡が結実するとか、少女がひとつ上の段階に成長するとか、そこらへんの“通俗的感動”があると、かえって作品の強度が増して、傑作に仕上がったかもしれませんね。

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» ヘヴンズ ストーリー(レビュー後編) [LOVE Cinemas 調布]
『感染列島』や『サンクチュアリ』の瀬々敬久監督が送る全9章、4時間38分にわたる超長編作品。それぞれの身に降りかかる殺人事件をキーに多くの人間が絡まりあいながらも生きていく様子を丁寧に描いた意欲作だ。『掌の小説』の寉岡萌希、『笑う警官』の忍成修吾、『かずら』の長谷川朝晴、『必死剣 鳥刺し』の村上淳、佐藤浩市、柄本明など、20人以上の多彩で豪華な俳優が出演している。... [続きを読む]

受信: 2010年10月24日 (日) 00時33分

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