「ヘヴンズ ストーリー」:278分1本勝負
4時間38分という超長尺の映画『ヘヴンズ ストーリー』を観ました。10分の休憩と10分ほどの予告編を合わせると、5時間にもなるという驚愕の作品です。でもとりたててしんどくはなかったです。長尺映画の2本立てよりは楽じゃないかなあ。
殺人と復讐の物語がメインの流れとしてはあるのですが、そこに多くの人々が絡んできて、人生の協奏曲となっている趣き。映画を観ることの面白さは、やはり「人間を観ることの面白さ」なのだなあ。私たちはスクリーンの中に、数多くの(けっこう極端な)人たちの「生(と死)」を観ることができる=自分以外の人生の切れっ端をかじることができるのです。それが甘かろうと、苦かろうとね。
役者たちがみな素晴らしいですね。特にメジャー級の俳優は佐藤浩市と柄本明ぐらいなんですけど、この小生が「見たことあったっけ?」と思うような人が結構大きい役やってたりして、それがいいんです。菜葉菜とか、長谷川朝晴とか、大島葉子とか、山崎ハコ(!)とか。忍成修吾なんて、彼のベストに違いありません。
撮影も素晴らしく、この現代とこの世界を捉えて、リアルで、しかも美しい(フォトジェニックということではなしに)。廃墟団地とその遠景の空気感とか。四季を通じて、暑さや寒さなど、しっかり空気が撮れています。
本作の広告コピー「二十一世紀の<罪と罰>」ってのが大げさではないほどに、時代と人間をきっちり描いています。でも終盤ちょっと物足りなかったかなあ。 なにか奇跡が結実するとか、少女がひとつ上の段階に成長するとか、そこらへんの“通俗的感動”があると、かえって作品の強度が増して、傑作に仕上がったかもしれませんね。
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