「行きずりの街」:ダメダメじゃん
映画『行きずりの街』は、製作:黒澤満、脚本:丸山昇一、撮影:仙元誠三、照明:渡辺三雄と往年の東映セントラルフィルムの面々が再会しての作品だけに、あのTCF的な匂いを期待したのですが・・・うーん、裏切りの街でした。
これ、原作も読みましたが、大して面白いもんでもないってゆーか、「このミス」第1位ってホント??って思うぐらい、ありふれた安っぽさでした。それでも、だからこそ今、丸山脚本で阪本順治が撮れば、いい映画になったりするのではと思いましたが、嗚呼。
まあハードボイルドってのは、何が起こっているのか、どういう話だったのか最後までよくわからない。でもオッケー、ってのが不文律ではありますが、それにしても原作を読んでいる小生にさえ何だかよくからないのですから相当なもんです。けっこう説明シーンや台詞に時間をかけていたかと思えば、必要であろう事柄をさらりとしか描かなかったり。うん、話術が下手ってことですね。ダレ場が多いです。
その上、『カメレオン』と本作とで確信したのですが、「(近年の)阪本順治はアクションが撮れない!」。だって、アクションになると引きの絵の1ショットで、迫力も何もあったもんじゃなくって。たまに寄ったりカット割ったりすると、必要なカットが無かったり、何を描いているのか要領を得なかったりして・・・。ああ、そういえば去年の『座頭市』のアクションもそうでした。ダメダメでした。
役者も生かせておらず、仲村トオルは妙にカッコつけてるし、相変わらず演技がちょっとねえ・・・。 そして小西真奈美があんまり魅力的に撮られてはおりません。困ったものです。
クライマックスやラストも、弱いです。てんでなっちゃいない感じです。 それでも往年のTCF作品のような、スタイリッシュな味わいとか、驚くべき映像とか、魅力的な役者とか、バランスが悪くてもどこかひっかかるようなパワーがあればいいのですが・・・、ありません。残念です。
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