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2010年12月 5日 (日)

深津絵里in「春琴」再演の高み

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世田谷パブリックシアターで『春琴』の再演を見ました。小生は2008年の初演の際に見てまして、その時の感想はこちら↓

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_2d94.html

前回公演は多くの演劇賞に輝いたりして、深津絵里の演技ともども大いに評価されましたが、今回の再演では出だしとか細部を改変しつつ、より完成度高く研ぎ澄ました印象。見事です。現代演劇の最高峰と言っても過言ではないほどのレベルで、形而上と形而下がつかず離れず絶妙に、演劇ならではの表現として迫ります。サイモン・マクバーニー演出の芸術性の高さが、見る者を圧倒します。

『陰翳礼讃』の世界を『春琴抄』に混ぜただけに闇の暗さが印象的ですし、声や音も重要な要素です。ヒバリの鳴き声と羽音。竹の樋を伝って水が流れる音。そして深津絵里による、あまりにも完璧な「こども声」。 闇の中の光、そして音や声が、「豊饒なミニマリズム」の世界を成り立たせています。

深津絵里さんがこの作品においては、いつものように「ふかっちゃん」なんて言えないほど崇高な女優として屹立しています。 彼女と佐助役のチョウソンハが表現する「異形の純愛」が、見る者を激しく揺さぶり、突き刺すのです。 そしてラスト、やはり息をのむ三味線の衝撃。 カーテンコールが6回ぐらいあったかなあ。それとスタンディング・オベーションにまでなっていったこと、その拍手の熱さが、観客の気持ちとこの芝居の成功を物語っていました。

前から3列目の右隅という席で見ました。右サイド駆け上がって、コーナーポスト間近でセンタリングみたいな席! ほんと見やすくて、コンパクトで、天井高くて、いい劇場ですねえ、ここ。

ロビーで販売していた(鑑賞パンフレットにもなる)写真集ってのがまた素敵ですよ。

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こんな謡本だか戦前の教科書みたいな製本(糸綴じ!)。洒落てます。ここでも感銘を受けました。

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