「ノルウェイの森」:原作通りだけど・・・
映画『ノルウェイの森』をようやく観ましたが、村上春樹ファンとしてもトラン・アン・ユン・ファンとしても物足りない出来。 ちょっと原作に忠実すぎて、映画としての自由度や跳躍が足りませんでした。 あのトラン・アン・ユン独特の瑞々しくも水と緑が印象的な艶っぽい映像美が欠落していましてねえ。
台詞にしてもナレーションにしてもハルキ節全開で、それを松山ケンイチがかなり見事に(無理なく)発声しているのですが、そうは言っても映画と小説は違いますからねえ。
菊地凛子は今29歳。さすがに二十歳の直子を演じるのにはちょっと無理があるんじゃないかなー。芝居でカバーはしているのですが、とは言え・・・。
水原希子は初々しくて、この緑さんの役にはとっても合ってます。実年齢の役ですし。
それはそうと、松山、菊池、水原--3人とも見事に「アヒル口」でした!!
村上春樹先生も、バーテンダーの役でさりげなくカメオ出演してましたね。
終盤、ワタナベ(松山)が悲嘆のあまり放浪するシークェンスにかかる音楽が、ほとんど『シャイニング』ばりにホラーな雰囲気だったのにはたまげました。
まあ原作もそうですけど、やけにセックスだらけで、しかも何故か人が4人も死んでしまう物語です(うち3人が自殺)。 エロスとタナトス、そして喪失感を通して普遍的なものを浮かび上がらせる春樹ワールドではありますけど・・・、成功作とは言い難いところでしょう。
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