「バスキアのすべて」:甦る早逝の天才
映画『バスキアのすべて』は、1988年に27歳の若さで他界した天才アーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアのドキュメンタリー。本人へのインタビューなど当時の映像を数多く使って、それをバスキアと関係のあった人々の現在のインタビューや、数々の作品と合わせて紹介する93分です。
当時からバスキアが大好きで、バスキアの死のニュースに驚き、死後もっと好きになった大江戸としては、色々と懐かしくもあり、また改めて凄さと天才を実感しました。 ケニー・シャーフとかトニー・シャフラジとかの懐かしい人々もすっかり年とって出演してますが、考えてみればバスキアも生きてたら50歳ですもんねえ。
人々は口を揃えて、「ジャン=ミシェルには驚くほど教養があった」と言っています。確かに、「黒人のピカソと言われるのは光栄だが、嬉しくない。白人だったらそう言われないだろうから。」とか、「 (作品は)どこにどんな線を引くとか、よーく考えて、全部計算して描いてるんだよ。決して偶然(の産物)だなんて言わせない」とかの名言も残しております。
二十歳かそこらでアート界の寵児として旋風を巻き起こし、NYのセレブに仲間入りしたバスキアは、アンディ・ウォーホルにも気に入られ、アートの歴史に名を刻む存在になっていったわけです。なにしろ世界的に注目されたアフリカン・アメリカンの現代美術作家ってのは、初めてのことでした。 その分プレッシャーも大きかったのでしょう。ドラッグに溺れていった彼は、オーバードーズで急逝してしまい、伝説となりました。 キース・ヘリング=31歳、ロバート・メイプルソープ=42歳とあの頃のトップ・アーティストはみんな若くして亡くなりましたよね(こちらの二人はエイズで亡くなったのですが)。
この映画はかなりテンポ良く、面白く出来ています。それにしても、バスキア作品の独創性、力強さは本当にスゴイ!と再確認できました。そして「傷つきやすい天才」ってことでは、マイケル・ジャクソンを連想したりもしたのです。
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