「アンストッパブル」:パワフルで骨太な傑作
映画『アンストッパブル』、いやーメチャクチャ面白い!! 最初から最後まで一気呵成に突っ走る超エンタテインメントとして、それこそ『ダイ・ハード』以来なんじゃないかってぐらい面白かったです。
物語はいたってシンプル。ただ暴走機関車をどうして止めようかってだけのお話。それをここまで血沸き肉踊る痛快な娯楽作品に仕立て上げたハリウッドの底力にはあらためて感心してしまいます。まあ、いつの時代にも存在し続けた、手に汗握るサスペンス&アクションであり、使い古されたような設定やら人物像やらも多いのですが、そういった定番要素も、ここまでうまく仕立ててくれれば文句のあるわけもございません。
最初は笑っていられるほどマヌケで小さなミスだったのに、それが徐々に未曾有の大惨事に育っていく様は、往年のパニック映画(Disaster movie)の定石。『タワーリング・インフェルノ』なんか、まさにそうですもんね。 二人の男の反目が友情に変化していく様とか、夫婦や親子の問題がヒロイックな行動により氷解して行く様とか、ほんとよくあるパターンなのですが、それでもクライマックスとかで、そこらのくすぐりやゆさぶりが入ると、もう泣けて泣けて・・・。かなり胸が揺さぶられて、涙ポロポロでした。単純だなあ、我ながら。おまけに手に汗握って、なんだかぐしょぐしょです。
CGをあまり使わずに、基本的にはナマの映像に頼っているあたりも、作品に骨太な迫力を与えています。ヘリによる空撮だとか、たたみかけるようなカット割りとか、荒っぽい動きやブレを生かした撮影だとか、金属的な効果音だとか、トニー・スコットらしさが見事に生きた作品でもあります。
1時間39分の作品なのに、2時間ぐらいに感じられました。それは良い意味で、密度が濃かったということ。 でも「実話にインスパイアされた作品」ってのが、オドロキです。いったいどこまでが実話で、どこからが創作なのかと思わずにはいられません。いずれにしても映画としては、最上級の迫力と面白さを誇るパワフルな傑作に仕上がっています。
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