「名前のない少年、脚のない少女」:美少女と能
映画『名前のない少年、脚のない少女』はブラジル映画らしからぬ(と言っていいのでしょうか?)リリカルな映像詩。 インターネットの映像を扱いながらも、その実質は「能」のような映画です。ブラジルの中でも、ドイツ系住民の村ってことがあるので、なんかヨーロッパの風が薫るのでしょうね(そういえばベルマーレにいたジャーン選手もドイツ系のブラジル人だったなあ)。
そういえば観終えるまで「脚がない」ってことをすっかり忘れておりました。あれっ、少女にはホントに脚ありませんでしたっけ?なんか全然そんな気がしなかったです。もし脚があったなら、それは幽霊(=死んでる人には脚がない)ってこと? ブラジルで? なんか不思議です。 でもそこらへんが「能」らしいところ。本作でもだんだん現実と空想の世界がないまぜになっていき、生きている人と死んでいる人の境界が曖昧になっていきます。幽玄の世界です。
タイトルが矢崎仁司監督の傑作『花を摘む少女と虫を殺す少女』に似てたってのも本作を観ようと思った動機の一つ。 もう一つの理由は「美少女映画」だってこと。いやー、この女の子の雰囲気が素晴らしいですし、クロースアップでは産毛までもが輝いています。ハッキリ言って、全編この娘の映像だけだった方が傑作たり得たのでは?との思いが強い大江戸です。
それにしても全編を通してかなり眠かったです。静謐さとゆるいテンポとリリカルな映像。気持ちの良い眠気を誘うってあたりも、「能」との共通点なのでありました。
| 固定リンク
コメント