「ツーリスト」:ウェルメイドな娯楽作
映画『ツーリスト』は、ジョニー・デップ&アンジェリーナ・ジョリー夢の競演って感じ。当代最強ですね。昨年の『ナイト&デイ』におけるトム・クルーズ&キャメロン・ディアスよりも更に旬の華があります。あの作品も「巻き込まれ型ロマンティック・サスペンス・アクション・コメディー」の傑作でしたが、本作もウェルメイドなエンタテインメントに仕上がってました。
本当に'50-'60年代あたりのハリウッド映画の雰囲気。男と女の掛け合いの洒落っぷりと、なかなかに都合のいい展開、そしてゴージャスなセッティングはまさに娯楽大作の王道です。ホテルやパーティーの小道具に至るまでの豪華さとアンジーの衣装の華麗さ。 でも何にもまして、ヴェニスの街と運河が、魅力的過ぎる映像で観る者に迫ります。空撮なんかもう圧倒的に素晴らしいのです。 近年、映画の中の街並みがこんなにもステキだった例って、ちょっと思いつかないほどです。
アクションもCGを駆使したハデハデなものではなく、「ほどほど」なのが好もしいところです。キャメラの動かし方とか、「大きな絵」の撮り方がまたハリウッドの王道風で、心躍るものがありました。 そしてジョニデのいつもながらのユーモア。パジャマ姿で屋根の上をひょこひょこと逃げるあたりには、ジャック・スパロウの雰囲気が漂っていましたね。
ラストは一応どんでん返しになってはいるのですが、まあ「あ、やっぱりそうなんだ」程度のものだったりします。まあ御愛嬌ってことで。 それにしても、あのティモシー<007>ダルトンが、すっかり初老の小物感漂うオジサンになっていたのには驚きました。エンドタイトルで気づいて、ゆるい「どんでん返し」よりもよっぽど驚きました。 それとギャングの親分を演じてたのが、あの演劇界の鬼才スティーヴン・バーコフ(カフカの『変身』などの舞台演出で有名ですよね)だったのにも驚いたのでありました。 ついでに監督が『善き人のためのソナタ』のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクという長過ぎる名前の人だったのにも驚きました。作風が違うもんねえ。
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