「軽蔑」:かつての邦画のような・・・
映画『軽蔑』、うーん悪くないけど大きな期待には届かずってところ。破滅型の墜ちる男と、不思議としか言いようのない程に無心の愛を捧げる女。ものすごく’70-80年代の日本映画の匂いがします。例えば『青春の殺人者』とか、神代辰巳の映画とか・・・。
廣木隆一監督らしい長回しが多く、それが鈴木杏と高良健吾の芝居を、というよりはもっとナマの感情をあぶり出していきます。それにしても映画的な、いい「絵」が多いんですよ(撮影は『雷桜』に次ぐ廣木作品の鍋島淳裕)。 出だし早々の、夜の歌舞伎町大疾走ロケ映像も素晴らしかったです。
高良君がカッコイイけど甘やかされたダメダメ男をナイーヴに演じます。一方の杏ちゃんは、うーん「女優賞取るぞー」って勢いで頑張ってるんだけど、やはり最終的にはミスキャストではないかなあ。冒頭のポールダンスも、ちょっと練習が足りてないように見えてしまっていたし・・・。
(以下ネタバレあり)
それにしても終盤の単身殴り込みシーンに『タクシー・ドライバー』そっくりのシーンがあったのには笑っちゃいました。それってちょっとパクリすぎでは? 大森南朋の悪役も久しぶりでしたが、忍成修吾の銀行員の粘着質のいやったらしさ表現の方が「さすが!」でしたね。
ラストもなあ。はあ、これだけですかって感じで、2時間15分引っ張ってきた割には、何とも物足りないものでした。
赤と黒のポスター・ビジュアル(写真は蜷川実花!)は鮮烈なんですけどね。
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