「ソリタリー・マン」:諸行無常の響きあり
映画『ソリタリー・マン』、公開2日目、日曜の夕方だといういのに観客は小生を含めて5人。でも観て良かったです。こういう普通のアメリカ映画--スターが何人か出てて、そこそこ楽しめるドラマがあって、印象的なシーンや台詞がいくつか散りばめられているような--って、めっきり公開されなくなりましたねー。これだって都内では渋谷のシアターNだけですもん(あぶないあぶない)。
黒づくめのファッションに身を包んだマイケル・ダグラスが、自家薬籠中の「富も地位も得たエネルギッシュで傲慢な男」を、少々の嫌味をまぶしながら見事に演じます。 この男の「今までの戦歴に裏打ちされた圧倒的『自信』」と、「迫り来る老いに脅かされる『落日』の焦り」のバランスが絶妙に演じられているのです。
ほんとにこの作品は、『平家物語』ばりに「諸行無常」を感じさせてくれます。なんか男にとっては「イタイ」作品です。そこら辺が面白いところですし、いい役者たちがそれをサポートします。なんか久々のダニー・デヴィートや、『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグがいかにもの適材適所で活躍しますし、新星イモージェン・ブーツのスッキリした美しさといったら!きっとこれから人気が出ることでしょう。 スーザン・サランドンはさすがの安定感と“味”。今年は『ウォール・ストリート』でもマイケルと共演してましたもんねえ。
(以下ネタバレあり) ラストでベンチに座ったマイケルが立ちあがります。先に車に乗った前妻のサランドンの方に行くのか?それとも直前に横切った若い女を追っていくのか?、その答えは出さずにフェイドアウト→エンドタイトルとなるのです。どっちなんだろうなあ。彼がどうするかを選ばなきゃいけないとしたら、大江戸としては後者だと思いますね。「バカは死ななきゃ治らない」のだし、だからこそ“Solitary Man”(孤独な男)なのだと思うのであります。
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