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2011年6月12日 (日)

「大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇」:瓦礫の中のゴールデン・リング

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映画『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』は、かなり不思議な作品でした。今注目されてる劇作家の前田司郎が原作・脚本だそうで、本田隆一監督の演出も含めて、かなり特殊なトーンとなっています。

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まあ、演劇人といっても宮藤官九郎とも松尾スズキとも、もちろん三谷幸喜とも違います。ケラリーノ・サンドロヴィッチには比較的近いかもしれません。脱力系のオフビートさ+シュールな笑い。全編を通じてかなり笑えました(赤いでんでんとか、ビーフシチューの温泉とか、「地獄甘エビ」とか、五反田とか・・・)。

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演出のうすら寒い感覚とか殺伐さは、まあ地獄ということで「あえて」そうなってるのでしょうけど、それにしてもちょっと間(ま)が長過ぎますよねえ。あと10分はつままないと。

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水川あさみは声がひどいので小生の評価は低かったのですが、ここでは結構いい感じです。 他にも樹木希林・柄本明の『悪人』コンビは出てるし、片桐はいりや荒川良々も「らしい」怪演を見せてす。

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でも本作で印象に残ったのは橋本愛ちゃん。昨年『告白』でデビューした時、小生が「この子は伸びる」と書いたとおり順調にキャリアを積み重ねています。この春には主演作『アバター』(キャメロンのじゃないよ)も公開されましたし。それこそアバターのように青い色に塗られちゃってますけど(「青い人」と呼ばれる青鬼の設定)、それでも可憐にかわいいあたりが流石です。彼女がらみの終盤のシーンなんか、妙な哀感があって、ヘンな感動がわき上がります。こんな映画なのに。そこらへんが本作の見どころであって、ものすごく難しく新しいことに挑戦していると言えましょう。とことんバカやりながら、とても美しいピュアなものを浮かび上がらせています。 佐野元春『Rock&Roll Night』の歌詞で言うなら「瓦礫の中のゴールデン・リング」があるのです。

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人気劇作家・前田司郎の小説を映画化。新婚早々の倦怠期を迎えた夫婦が何と地獄への旅行を通じて愛情を取り戻すコメディー映画だ。主人公の夫には『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』の竹野内豊がコメディ初挑戦。その妻に「のだめカンタービレ 最終楽章」シリーズの水川あさみ。共演に樹木希林、片桐はいり、でんでんら超個性的なメンバーが揃う。監督は本田隆一。... [続きを読む]

受信: 2011年6月12日 (日) 02時34分

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