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2011年8月14日 (日)

「モールス」:忠実なリメイクの静謐さ

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映画『モールス』は、昨年公開されたスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウド・リメイク。監督は『クローバーフィールド HAKAISHA』のマット・リーヴス、主役の少女には『キックアス』のクロエ・グレース・モレッツ、更には重要なおじさん役にリチャード・ジェンキンスと、注目の才能が揃っています。

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全体的に『ぼくのエリ』にかなり忠実に作られています。物語や人物の大きな改変はなく、ハリウッド映画の枠の中できちんとリメイクしました。ヴァンパイア化した時の少女の顔の特殊メイクや怪物的な動きのVFXなどがいかもハリウッド的に派手になっています。やけどを負ったジェンキンスの件りも「ホラーかよ」って感じ(包帯巻くでしょ)。でもそれ以外は、前作のトーンをしっかり守って、悲しみを湛えた静謐さに満ちています。スウェーデン映画なればこそだった、あの寒さや静けさや諦念が、基調としてきっちり表現されていて、まさにリスペクト溢れるリメイクと言えるでしょう。

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学校でのいじめ関係がサブテーマとして描かれ、それがプールでのクライマックスにつながっていくのですが、ここらへんはやはり前作の方が、見事な切れ味の描写でした。まあ、こちらも初めて観た人はびっくりするのでしょうけど。

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それでも大江戸は今年のベストテンに入るほどの秀作とまでは思いません。ほんの2週間かそこらで、これだけ人が死んでるのに、じゃあ今までの何十年、いや何百年はどうしていたのか?そこらへんが妙に気になっちゃいますし。まあツッコミどころは、そこそこありますね。『モールス』って邦題にも首をかしげざるを得ないし。 ただ「珍味」としての存在価値は、十分にあると思います。 それとクロエ・グレース・モレッツが、昔のヴィヴィアン・スーにそっくりでした。

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