「猿の惑星 創世記」:映画が直線的に駆け抜ける
映画『猿の惑星 創世記(ジェネシス)』は、予想以上に面白くって興奮しました。1時間46分を一気に駆け抜ける見事なエンタテインメントです。ティム・バートンの『PLANET OF THE APES 猿の惑星』は何であんなにつまらなかったのだろう、と思い返しちゃいました。
ストーリーが直線的に進みます。ムダやタメがなく、冒頭からラストまで、ぐいぐいと転がって行きます(今年のアメリカ映画でいくと、『アンストッパブル』もその口でしたね)。脚本も良いのですが、日本公開作はこれが初というルパート・ワイアット監督の演出の冴えが随所に光ります。前方に葉っぱが降って来て、なんだろうと上を見やると猿だらけだとか、映画的な見せ方を心得てます。絵作りで言えば、猿たちがサンフランシスコの街を走る場面の俯瞰移動ショットとか、霧の金門橋の猿たちだとか、序盤の猿の動きを追って家の中を動き回るキャメラアイだとか、映像が見事に映画として機能しています。感心して唸ることしきりでした。この監督は、絶対伸びますよ。
でもそれ以上に中心的役割を担ったのは、何と言ってもCGIの力。ああ、各種猿たちの動き、モーションキャプチャーによる表情の自然な素晴らしさ! これなら、シーザー君がアカデミー主演男優賞にノミネートされても、不思議ではありませんよね(アンディ・サーキスがもらうんですかね)。猿たちのスピーディーな動きやアクション描写を見るだけでも、豊かな映画的興奮を味わえるのです。シーザー、愁いの表情がたまらないし、カッコイイんだもん。
クライマックスのサンフランシスコ大攻防戦は、なかなかのスペクタクル。それにしても猿が体当たりしただけであんなに簡単に割れちゃうガラス壁面って、何・・・?(笑)
(以下多少のネタバレあり)
ああ、なるほど。こうして『猿の惑星』の世界が出来ていったのねと、納得のいく映画です。 あのシーザーの発する“No!”の、鳥肌ものの衝撃! ここは凄いです。
まあ前作のラストは超えられるわけもありませんが、本作のエンドタイトルバックの詠嘆すべき空恐ろしさ=地球を覆い尽くす感染の恐怖 も、なかなかどうして静かに衝撃的な表現でした。
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