「カウボーイ&エイリアン」:新時代のウエスタン
映画『カウボーイ&エイリアン』は、作られるべくして作られた、ちょっとした「発明」です。つまり、西部劇で単純な悪者のインディアン(ネイティヴ・アメリカン)は、'60年代末のニューシネマ以降描かれなくなった、というか描けなくなった→西部劇も衰退し、その代わりに『スター・ウォーズ』以降は宇宙人(エイリアン)を単純な脅威としてバンバンとゲーム感覚でやっつけるようになったわけですね。 で、それなら西部劇の中でエイリアンをやっつけちゃえばいいじゃん、ってのがこの映画の画期的なところ。むしろ、思いつくのが遅すぎた感もありますね。
それにしても西部劇の風景の中に宇宙船が現れるヴィジュアル・ショックはなかなかのもの。カウボーイの腕にSF的スーパー・ウェポンってのもオドロキですね。まあ、ある意味キワモノ的な融合を何とか不自然にならずにまとめられたのは、ジョン・ファブローの正統的剛腕のおかげでしょうか。
英国人ダニエル・クレイグが、タフな西部男を演じてサマになってます。ハリソン・フォードを脇に置いての堂々たる主役っぷりです。 ハリソンの方も、初老の役がサマになって来ました。
まあ、全体的にはSF濃度よりもウエスタン濃度の方が高いと思います。エイリアンをインディアン代わりの悪者に仕立てたとは言え、途中からネイティヴ・アメリカンの一族も出てくるのです、この映画。でもさすがにこの時代ですから、彼らの描写には注意を払っていて、白人と互いにリスペクトして共闘するようになるのです。精神はあくまでもウエスタンです。
ただ賞賛すべき作かというと、微妙なところ。まあ、もう少し尺をつまんで、もう少しユーモアをまぶした方が良くなったと思いますね。
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