「ジョージ・ハリソン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」:3時間半の人生劇場
映画『ジョージ・ハリソン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』は、マーティン・スコセッシ監督によるジョージ・ハリソンの生涯を追ったドキュメンタリー。なんと3時間30分! 休憩をはさんでパート1が約1時間35分、パート2が約1時間55分という、ほとんど2本立て状態の長編なのですが、それほどの長さは感じずに観られます。
ジョージは、特に若い頃の彼は、実に見事にハンサムです。でもやはり地味で、性格的には「ベーシスト」ですよね。ビートルズの面白いところは、性格的にギタリストのポールがベース弾いてて、その反対にジョージがギター弾いてたってこと。まあ、そんな彼がギターから「シタール」に傾倒していっちゃうわけですけれど。
パート1,2を通して延々と描かれるジョージとインド音楽やハレ・クリシュナ教との関係。ここらがさすがに飽きちゃうところですね。パート1は、なかなかのテンポと編集で面白く観られるのですが、パート2はちょっと冗長かな。
そんなふうに感じるのも、この人って、結局何をしたかったのか、何者だったのかが最後までよくわからない人であり、行動の裏に何もない、厚みの無い人であったってことなんだろうなあ、と思いました。インドへの傾倒も、「だから何?」って感じで、彼自身の思想とか信条とか信念とかってやつが、一向に見えてこないのです。ある意味、恐ろしいほど「からっぽ」な人だったのかも知れません。
タイトルになっている『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』は、ビートルズ解散後に出したジョージのソロアルバム2作目のタイトル。同名曲は、なぜかこの映画に使われていません。 “material”なこの世に生きた“spiritual”野郎の不思議な人生ってとこですかね。 女性にモテモテだったことも、証言でわかりました。なるほどです。
関係ないけど驚いたのは、TVのトーク番組なんかで出演中の人々が当たり前のようにタバコを吸ってること。リンゴもミック・ジャガーもコメンテーターさんも、何食わぬ顔してタバコに火をつけて、相手の目の前で吸い始めます。さすがに隔世の感がありますなあ。
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