« 「モダン・アート,アメリカン」展の物足りなさ | トップページ | 浪花のマック »

2011年11月 8日 (火)

「ハラがコレなんで」:粋な女版寅さん

340505_001

映画『ハラがコレなんで』は、かなり笑える人情コメディー。『川の底からこんにちは』で高評価を得た石井裕也監督、本年の『あぜ道のダンディ』では、非常にギクシャクとして面白くなかったのですが、本作ではなかなかに楽しませてくれます。

340505_002

それにしても映画の仲里依紗って、なんでこんなにいいんでしょう!(TVだと大したことなかったりするのに) 『モテキ』では登場場面が少なくて「見足りない」印象でしたが、この作品では出ずっぱりの堂々たる主演です。彼女の妊婦姿の堂々たること!足を開いて、おなかを支えながらの妊婦歩きが本物っぽいったらありゃしません(ちなみに役柄は24歳、彼女自身は21歳です)。そして仲さんは表情が豊富で、いいんですよ。

340505_004

彼女の台詞がことごとく名文句です。「OK」と「粋だねぇ」が口癖で、きっぷのいい下町っ子って感じ。「粋か粋じゃないか」が全ての価値判断の基準。「大丈夫。風向き変わったら、その時ドーンと行けばいい」だとか「今までもこれからも、あたしの人生に安定期なんてないんですよ」だとか、「風に聞いてごらん」だとか名言の宝庫。こりゃー、「女寅さん」ですね。粋でハードボイルドな妊婦ヒロイン(ヒーロー?)。是非シリーズ化してもらいたいもんです。1作ごとに一人産んだりしたら・・・、笑えます(?)。

340505_003

仲さんに較べると、中村蒼くんはじめ周りの役者はちょっとパワー不足で魅力薄。唯一、『川の底からこんにちは』の稲川実代子さんが、お見事です。80代の老女役ですが、プロフィール見ると彼女ってまだ60歳なんですね!びっくり。

大江戸も「粋」は「でえ好き」でしてね。本作でも「日本人の美意識」とか言ってますけど、小生の定義の一つとしては「実利を後回しにするやせ我慢の美学」ってところ。いかがでしょうか?

|

« 「モダン・アート,アメリカン」展の物足りなさ | トップページ | 浪花のマック »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「ハラがコレなんで」:粋な女版寅さん:

» ハラがコレなんで [LOVE Cinemas 調布]
『川の底からこんにちは』、『あぜ道のダンディ』の石井裕也監督最新作。主演に『時をかける少女』、『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』の仲里依紗を迎えて、妊婦のヒロインが独自の“粋”の美学をもとに義理と人情を貫き通す姿をコミカルに描いたヒューマンドラマだ。共演は『行け!男子高校演劇部』の中村蒼、石橋凌、稲川実代子、斉藤慶子らが出演している。... [続きを読む]

受信: 2011年11月 8日 (火) 23時55分

» ハラがコレなんで 〜石井裕也監督最新短編2部作つき上映!!〜(2011-092) [単館系]
石井裕也監督最新作。 今回この作品を見るにあたって劇場選定から ハラがコレなんで 〜石井裕也監督最新短編2部作つき上映!!〜 が一部シネコンで展開。 いつもなら都内の劇場をはしごしていくのだが上...... [続きを読む]

受信: 2011年11月12日 (土) 23時48分

» ハラがコレなんで [映画的・絵画的・音楽的]
 『ハラがコレなんで』を渋谷のシネクイントで見ました。 (1)『あぜ道のダンディ』に続く石井裕也監督の作品であり、また、『ゼブラーマン2』や最近の『モテキ』に出演している仲里依沙が主演とのことで、大いに期待したのですが、何回も彼女の口から飛び出す「粋だねっ...... [続きを読む]

受信: 2011年11月23日 (水) 06時39分

« 「モダン・アート,アメリカン」展の物足りなさ | トップページ | 浪花のマック »