「日本のコピー100」:日本語って面白い
宣伝会議から出た『日本のコピー100』。古今の広告コピーの中から、中畑貴志、佐々木宏、前田知巳ら10人の選者(コピーライターはじめ広告界の人々が選んだ「究極のコピー」(至高のコピー?)100選・・・と言いながら、本書は「ベスト10」「ベスト100」「ベスト500」の3部構成。計610本の作品が示すものは、「日本語の深さ、豊かさ、その味わい」です。
ちなみにベスト10は選者10人のコメント入り、ベスト100は誰か選者1人のコメント入り、ベスト500はコメントなしです。
1.おいしい生活。 2.想像力と数百円 3.おしりだって、洗ってほしい。 4.男は黙ってサッポロビール 5.モーレツからビューティフルへ 6.触ってごらん、ウールだよ。 7.好きだから、あげる。 8.なにも足さない。なにも引かない。 9.恋は、遠い日の花火ではない。 10.すこし愛して、なが~く愛して
以上がベストテン。なるほど、納得できますね。 1,2,10位が糸井重里作品だということにびっくり&首肯。糸井さん以外にも中畑貴志、秋山晶、西村佳也、眞木準らの作品がかなり多く入っています。
ベスト100や500の中で大江戸が好きなコピーを挙げると、
不思議、大好き。 時代なんかパッと変わる。 男は先に死ぬ。 地図に残る仕事。 一瞬も一生も美しく 私だけ、美人だったら、いいのに。 それゆけ私 このままじゃ、私、可愛いだけだ。
こんなところでしょうか。 全体を通して、'80年代のコピーがやたらと多い気がします。それは一つには40代から50代が多い選者の年齢構成によるものでありましょうし、もう一つには広告が一番元気な時代だったということが言えると思います。
でも(朝日の書評にも同じことが書いてありましたが)、コピーの発表年が記されていないのが残念ですねー。コピーって、とっても時代の空気を呼吸し、時代に左右されるものなので、それが無いのは非常に重要な欠落だと感じました。何年にもわたって使われているコピーがあるのはもちろん承知していますが、それでも初出年を載せるとか「○○年~××年」とか「△△年ごろ」とか書きようがあると思うんですけどねー。
とは言え、滅法面白い本です。日本語ってスゴイです。ニュアンスってスゴイです。
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