「監督失格」:愛と衝撃と年月
映画『監督失格』は、2005年に34歳で急逝したピンク&AV女優の林由美香と、その元恋人(不倫)の映画監督平野勝之の関係とその果てを見据えたドキュメンタリー。ただならぬ作品ではあります。
後半の衝撃的な場面、つまり平野と由美香ママが、由美香の部屋で彼女の死を発見するところ(廊下に置いたカメラが捉えた長回しの映像)は、映画史上かつて無かった問題場面には違いありません。ここでの母のリアクションの痛ましさは、正視し難いほどです。
ラスト近くの、魂を抜かれたような由美香ママの姿には、静かな穏やかさの中に、確かに「地獄を見た者」の気配が満ちていました。
十数年の時間の経過、その中でずーっと保たれてきた平野の由美香への思い。由美香の死後5年間、一切映画が作れなかった監督。男は引きずるんだよねえ。そして、これを愛と呼ばず何と呼びましょう。26歳の林由美香がつぶやく「幸せです」の美しいカット。 ただラストの自転車暴走号泣は、ちょっと感心しなかったけどなあ・・・。
この作品、『エヴァンゲリヲン 新劇場版』の「カラー」が制作してて、庵野秀明がプロデュースしてるんです。昔の写真や葬儀の写真に庵野さんが写ってたりもするのです。
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