「哀しき獣」:血と骨
映画『哀しき獣』は、2009年の『チェイサー』で鮮烈なデビューを飾ったナ・ホンジンの2作目。こちらも前作同様に禍々しいバイオレンス・アクション・ミステリーです。
血糊にまみれたハードなバイオレンス描写は、韓国映画ならでは。凶器が包丁とか斧とか棍棒的な骨だったりするあたりが、リアルに痛そうです。顔面血まみれシーンがこれだけ多い映画も珍しいです。
主演の二人は『チェイサー』の二人なのですが、うーん、逃げる男ハ・ジョンウみたいな役者は何とか日本にもいそうですね。顔的にも大森南朋とか加瀬亮に似てますし。 でも追う男キム・ユンソクみたいなガタイのいい(やや太目)ワイルド系な奴って、日本にはいないんですよね。韓国においてはチェ・ミンシクだとかソン・ガンホとか、このタイプはお家芸だからなあ。
重量感あふれるカーアクション&カーチェイスの場面も、ほんとにケガ人が出そうな危険度ビンビンの迫力。 それにしても昨年公開の『悪魔を見た』や『アジョシ』もそうですが、韓国伝統の超ハードな残酷暴力描写、その重厚な暗さと骨のきしむような迫力には、いつも観てて疲弊しちゃいます。『チェイサー』同様の全力疾走の連続にも、エネルギーを吸い取られますし。
シンプルで直線的だった『チェイサー』に較べると、こちらは随分と混み入ってて、しかも抑制した「ほのめかし」的表現が多くて、何がどうなっているのかがわかりにくいです。それって、このような娯楽映画にとっては欠点に違いなく、大江戸としては前作の勝ちと言わざるを得ないところなのです。
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