「Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」:3Dは監督次第
映画『Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』は、ヴィム・ヴェンダース初の3D映画。3Dドキュメンタリーにして3Dダンス映画ってことで、観る者の目に新鮮な作品です。
2009年、製作準備中のピナ・バウシュ急逝により、製作自体が危ぶまれた本作ですが、彼女の弟子というべきカンパニーのダンサーたちが踊ることで、ピナの世界を表現していきます。
彼女のダンスの特徴は、身体性と演劇性。女も男もその肉体の特性に回帰するような動き、そして観客一人ひとりが自らのストーリーを紡ぎ出せるような舞踊です。カンパニーにはいろんな人種の、いろんな体型の人たちがいます。そこらの多種多様性も、特徴的なところです。
本作の3Dは、さすがです。見事に「新しい3D効果」を生み出しています。考えてみれば、3Dってダンスや演劇や音楽のライヴなどのパフォーミング・アートにこそ適しているのではないでしょうか。その臨場感や奥行きが、見事な効果を出していました。
本作のヴェンダースとか、『ヒューゴの不思議な発明』のマーティン・スコセッシとか、やっぱり3Dも一流の監督が撮ると、その効果がきちんと作品の内容と質に結びついて、良好な化学反応が起きるのですね。スピルバーグの『タンタンの冒険』も作品全体の出来はともかく、3Dの見せ方はさすがに優秀でしたもん。
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