「アーティスト」:久々スタンダード・サイズ
映画『アーティスト』は、今モノクロ&サイレントの映画を、昔のまんまのスタイルで作ろうとした発想の勝利。それにしてもそれをやってくれたのが、ミシェル・アザナヴィシウス監督はじめフランスの方々だとは! 同様に映画創世記を映画愛たっぷりに描いた『ヒューゴの不思議な発明』もパリが舞台でしたし(パリッ子たちがみんな英語で話してましたが)・・・。
話としては他愛もないもので、サイレントに限らず今までハリウッド映画で何度となく繰り返されてきたようなパターン。でも、それだからダメってことは全然なくて、娯楽映画ってそれでいいってこと。そしてストーリーではなくて、その「場」における俳優たちの輝きや化学反応を楽しむものなんですよね。
主役の男はクラーク・ゲーブルのタイプ。女は(監督の奥様だそうですが)ちょっとライザ・ミネリで、むしろ市川美和子やシェリー・デュヴォールが入ってます。撮影所で出てきたマルコム<時計じかけ>マクドウェル、順調にジジイになっております。 そしてジョン・グッドマンやジェームズ・クロムウェルのおかげで作品の魅力が増しましたし、アメリカ映画の匂いが出ましたね。 (傑作とは言えないけど)悪くはない仕上がりです。
新宿ピカデリーで観ましたが、本作のスタンダード・サイズ(1:1.33)のフレームに対して、左右のカーテンがフレームぎりぎりまで届かずという状態。つまり映写されている有効画面はスタンダード・サイズですが、カーテンはそこまでしまらないんですね。ビスタ・サイズやワイド・スクリーンには対応して調節できるのでしょうが、スタンダードは想定の外だったのでしょうね。まあ、ほとんどあり得ないスタンダードのために、設備の費用が増すことを良しとしなかったという現実的判断なのでありましょう。心情的にはちょっと寂しいけどね。それでも天地を切って横長で上映するようなミスが無かっただけでも、良しとすべきなのかも知れませんね。
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