「スーパー・チューズデー 正義を売った日」:極めてオトナなエンタテインメント
映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』は、今やクリント・イーストウッドに次いで正統派で質の高いアメリカ映画を撮り続けているジョージ・クルーニー監督作品。当然出演もしています。 非常に緊密な知的エンタテインメントとして成功しています。
とにかくいい役者が揃っていて、その芝居合戦が見もの。実はいろんな顔やってるのにポーカーフェイスに感じられるライアン・ゴズリングが、またも見事。この主人公の複雑な内面と喜怒哀楽を、抑えた芝居から滲みださせて、見事に表現しています(エンディングの表情も見事)。今売れてるのがわかる、いい役者です。
フィリップ・シーモア・ホフマン、ポール・ジアマッティ、マリサ・トメイらも丁々発止の演技バトル。中でもP.S.ホフマンはいつも以上の巧みさで、舌を巻くような好演。そこにじんわりと、いい味を出して・・・当代きっての演技派だと思います。
その昔、ロバート・レッドフォードが主演した『候補者ビル・マッケイ』という、やはりアメリカの選挙の暗部をえぐった作品がありましたが、映画としては本作の方が上を行ってます。クルーニーの演出が堂々と見事で、しかもクールな才気がにじみ出てくるのです。そして、「皆まで言わず」に起こっていることを正確に理解させる脚本が、これまたオトナで見事。そう、本作は人間たちのしょうもなさやリアルな世の中のファッキンな泥沼を描いた、極めてオトナなエンタテインメントなのです。
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