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2012年5月16日 (水)

「少年と自転車」:他人に厳しく自分に甘い少年

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映画『少年と自転車』は、ダルデンヌ兄弟にしては明るいという声をよく聞きますが・・・うーん、そうかなあ。まあ河畔を自転車で並んで走る場面などは、確かに「らしからぬ」明るさを見せていますが、とどのつまりはこの兄弟らしく難渋を極めた現実を描いた作品です。何しろ不良少年や不良オトナを描くのがライフワークな二人ですから。もっとも画面のルックは、確かに明るい陽光や色彩に満ちていて、それがいつもとは違います。

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この赤シャツ少年がちょっといくらなんでも勘弁ならん奴なのです。里親さんはヨーロッパ流の物分かりの良さで、結局彼を甘やかせてスポイルしちゃっています。ただダルデンヌ兄弟の視点はいつものようにクールで、良いとか悪いとかではなく、こんな人たちがいますってことだけをハードに提示します。

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この少年や里親を受け容れられるかどうかで、評価ががらりと変わる映画でしょう。無責任な父親がそもそも諸悪の根源という見方もあるかも知れませんが、それで少年の乱暴狼藉が許されるってもんではありません。だってあまりにも他人に厳しいくせに、自分には甘いんだもん。 人間は弱いものかも知れないけれど、もっと強く生きて欲しいと思うのです。

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受信: 2012年5月23日 (水) 06時49分

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受信: 2012年6月12日 (火) 10時50分

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