「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」:似てない・・・
映画『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』は、国粋主義者ミシマを描きながらも、若松孝二らしいメッセージ色むき出しの一篇。昭和の時代再現は結構がんばっています。
しかしながらテーマ性に傾注するあまり、映画の技術面や絵作りがおろそかになるのも、いつもの若松孝二。やはり映画として純粋に面白く質が高いとは言い難いところがありました。
何と言ってもかんと言っても、ARATA改め井浦新(だじゃれや早口言葉ではない)がまったく三島と似ていないあたりが、観る者としても解せずに悩むところ。あの三島由紀夫のギラギラしたミニゴリラみたいな、眼光鋭く眉毛が濃くて胸毛はえてる感じと、井浦新のすらっとしてあっさりした個性とが、まったくの別モノ。顔も体も雰囲気も、あまりにも違うので、いったいどうしてこのようなキャスティングに至ったのかが、不思議でなりません。切腹の時のおなかだって、ナルシスト三島はもっと腹筋割れてた感じですもん。似てないのが気になっちゃって、最後までダメでした。 『MISHIMA』で緒形拳が演じたミシマも、まるっきり似てなかったし、なんか不幸ですね。
役者では、三島を介錯した森田必勝を演じる役者が唯一凄いな、この狂気をはらんだ純粋さ・・・。と思ったら、なんと満島ひかりの弟、満島真之介(デビュー作)でした。うーむ、なるほど。
それにしても寺島しのぶ演じる三島夫人の本作における意味合いが、(思わせぶりなだけで)最後までわかりませんでした。 まあ三島の行動自体が、最後までわけわからんのですけどね。
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