「舟を編む」:仕事って素晴らしい
三浦しをんの『舟を編む』を読みました。全国書店員の投票で選ばれる「本屋大賞2012」の受賞作です。辞書編集者の苦労やら何やらを追って行った作品ってことで、こりゃー興味を引かれますよね(え、引かれない?)。
細かい細かいことへの執着と、気の遠くなるほどの時間と作業量の集積である辞書編纂に賭ける人々と苦闘の日々。そこから人が長い年月を捧げる「仕事」というものの素晴らしさが立ち上ってきます。確かに面白く、変人さんが主人公ってあたりも、大江戸的にはポイント高いところです。
でも思っていたよりもずっと軽いトーンの作品でした。ほとんどライトノベルに近い感じも・・・。
本のカバーをめくると右のような少女マンガ的なコマ割イラストが表紙と裏表紙を覆っているのですが、まさにこういう世界なんですね。その分、通俗的な強さってものがあるわけでして、ずんずん読めるし、ラストなんぞはかなり目頭を熱くさせられちゃいました。
読んでいて映像が目に浮かぶというか、原作者も明らかに映像化を視野に入れて書いてますね。映画にしてもTVドラマにしても成り立ちます。ほら、ジャニーズのあの人やあの人をキャスティングできそうだし。ただ作品の中で15年という年月の流れがあるので、そこらへんの難しさは大いにあるのですけどね。うーむ。
この本の装丁自体が作中の辞書の装丁と似通っている(そこらへんの描写もある)のも、また楽しからずやです。
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