「それでも、愛してる」:ジョディー、どうしちゃったの?
映画『それでも、愛してる』はジョディー・フォスター久々の監督作(出演も)。でも、なんだこりゃ?的な怪作に仕上がっておりました。どうしちゃたんだ、ジョディー? 監督デビュー作『リトルマン・テイト』の才気が懐かしいです。
鬱病に悩むメル・ギブソンが、ビーバー(原題=“The Beaver”)のぬいぐるみを手にはめることで、ちゃんと話ができるようになり・・・ってストーリーですが、この療法?で改善した時の周囲の反応ったら。特に妻であるジョディーと、長男の反応がひどいんですね、この冷たさ、頑なさ、無理解がどうにも不思議です。いいじゃん、ある意味真っ当なコミュニケーションが取れるようになったんだから。日本だったらたぶんOKでしょう。「カワイイ文化」の国ですから。ここらがマッチョなアメリカの弊害の部分ではないでしょうか。
(以下ネタバレあり) で、そういった葛藤を経て、終盤はもっと異常な展開に突き進みます。なにしろ葛藤の果てに取った主人公の決断は、ビーバー人形ごと自分の腕を切り落としてしまうことだったのですから。 あまりといえば、あまりの展開です。こんなのってアリ?唐突にホラーかよ? その昔アンソニー・ホプキンス主演の『マジック』っていう映画がありましたけど、あの作品では腹話術の人形が人形遣いを取りこんじゃうようなホラーでしたよね。
その過激な行為により愛を取り戻した夫婦みたいな終わり方ですが、なんだそれ? そんな自傷行為に及ぶ奴の方が、よっぽどアブナくて問題ではないでしょうか? ほんと、アメリカの知識人にはもっと「カワイイ」を勉強してもらいたいと思います。もっともこのビーバーは、ぜんぜんカワイくなかったですけど・・・。
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