「サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3」:軽妙な錬金術
村上春樹の新刊『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』(マガジンハウス)を読みました。雑誌『anan』の連載コラムをまとめたものの第3巻。第1巻『村上ラヂオ』、第2巻『おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2』同様、大橋歩さんの銅板挿絵を添えた、軽妙洒脱なエッセイ集です。連載は3月で終了しているそうで、これが最終刊ってことになるわけです。
文字を読んでいく楽しさにあふれています。本当にどうでもいいようなテーマを、ゆるゆるとリラックスした文体でムラカミ流(村上龍ではない)に料理していく、ある種の錬金術。
このシリーズを読むといつも、「ああ、ハルキさんは小生に似ているな」と思うことが多いのですが、今回もそんな記述がいくつもありました。「黙っていろと言われたら、いつまででも黙っていられるし、それは苦痛ではない。」とか、「二番手というのは、ポジションとしてわりに好みです。(中略)先頭に立って突っ走るというのは、どうも性格的に向かない。」とかとかね。
エッセイの後についている「今週の村上」という1行も笑えます。やけにオヤジギャグなネタが多いんだけど、ハルキさんほどになるときっと許されるんだろうなあ、たぶん。
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