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2012年7月23日 (月)

「苦役列車」:過酷さを描かないと・・・

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映画『苦役列車』は、あの原作のザ・私小説的なダメダメさ加減をベースにしながらも、だいぶまっとうな青春映画の方に近づいています。まあ山下監督の現在の方法論ってこともあるでしょうし、東映のメジャー作で最後まで鬱々と汚濁にまみれたままでは商売にならないでしょうからね。

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大江戸の一番の不満は、港湾の日雇いの現場における「苦役」のキツさが全然表現されていなかったところ。セメント袋をかついでいる場面がちょっとあっただけでは、主人公の置かれた状況の悲惨なまでの過酷さ、そこから来る鬱屈が理解できません。原作にあった背骨と腰をきしませるような、冷たく辛い「冷凍イカ」の塊を運ぶ労働を、きっちりと描いてくれなくてはダメです。ホント、観たかったんですよ、冷凍イカの映像(きっとドロンとしたイカの目が雄弁に語るものもあったと思うんです)。

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衣装や小道具や髪形で'80年代を表現していますが、山下監督の前作『マイ・バック・ページ』における1969~72年ほどには力が入っていない印象も。 いまおかしんじ脚本は、原作にはない前田敦子の役を作ったりしていますが、まあ可も無く不可も無い改変でしょうか。でも、この女の子が冬の海にスリップ姿で入って行く場面とか、あっさりと主人公を許しちゃうところとか、なんだかリアリティ無さ過ぎ。それとも、この子自体が妄想の産物なんでしょうか。 

342201_005森山未來は全く「柄」ではないこの役を、必至のアプローチで表現していますが、うーん、申し訳ないけれど最終的にはムリですよね。どうしても「芝居」になってしまって。彼は最善を尽くしているのですけど。

ラストもなんだかなあ、って感じで、才人山下敦弘にしてもこの素材を上手に料理しかねた印象でした。

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